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» 2018年12月26日 08時00分 公開

クラウドシフトが生む新たなマーケット“クラウドセキュリティ”の現在地すご腕アナリスト市場予測(2/5 ページ)

[登坂恒夫,IDC Japan]

3つの機能セグメントに見るクラウドセキュリティ市場予測

 ここで、クラウドセキュリティにおける市場について見ていきたい。2018年11月にIDC JAPANで発表した「国内クラウドセキュリティ市場予測」では、パブリッククラウド環境へのセキュリティ対策製品市場を国内クラウドセキュリティ市場と定義し、3つの機能セグメントに分類して調査している。具体的には「クラウドシングルサインオン」「クラウドセキュリティゲートウェイ」「その他クラウドセキュリティ」だ。

【クラウドシングルサインオン】

パブリックラウド上のリソースに対するユーザーのアクセス権やユーザーアクセスの監視、追跡機能を提供する。

【クラウドセキュリティゲートウェイ(CSG)】

この機能セグメントは、以下の機能を提供するものが含まれる。

IDの特定:ユーザーはクラウドベースのアーキテクチャのなかで重要なエンドポイントである。CSGでは一般的にユーザー管理は行わず、ID情報をポリシーの適用やユーザーのトラッキングのために活用する。

アプリケーションの特定:CSGは公開されたAPIの有無に関わらず、機能レベルで複数のクラウドアプリケーションを把握する必要がある。

アクティビティ監視:CSGは、ユーザーとクラウドアプリケーションの間で起こっている行動やトランザクションを記録し、典型的な行動か異常な行動化を把握する。そして不適切と思われる行動に対する対応の機会を提供する。

コンテンツ監視:CSGは、構造化コンテンツや非構造化コンテンツに関わらず、コンテンツがクラウド環境上の機微な場所で活用されていることが確認されている間、コンテンツのライフサイクルを記録する。

ポリシーの適用:CGSは、アクティビティ監視とコンテンツ監視と関連した対処をとることが必要である。そのため、CSGは、リソースに対するポリシー作成のインターフェースやポリシー策定後に監視した結果を通知する仕組みを持っている。

暗号化通信:CSGは、ユーザーとアプリケーション/サービスの間の全ての経路に対して暗号化通信を提供する。

【その他クラウドセキュリティ】

上述の2項目に含まれない、クラウドデータを保護する暗号化や環境へマルェア対策ソリューションなどが含まれる。

 ここで、国内のクラウドセキュリティ市場に関する予測を見てみたい。まず2017年度の国内クラウドセキュリティ市場は、前年比19.7%増となり、売上ベースでは96憶円ほど。そして、2017年から2022年の年間平均成長率は18.0%と予測しており、売上ベースでは2022年には220憶円にまで拡大すると見ている。特にDXの影響でパブリッククラウドやモバイルデバイスの利用が拡大し、パブリッククラウド上に展開するITリソースの保護を目的にクラウドセキュリティ導入が広がることになると考えられる。なお、機能セグメント別にみると、クラウドシングルサインオンが9.3%、クラウドセキュリティゲートウェイが37.2%、そしてその他は18%の伸びと予測している。特にクラウドセキュリティゲートウェイの伸び率が高いものの、ほかの2つに比べてマーケットサイズがまだ小さいため、その分伸び率も大きなものになっている。

国内クラウドセキュリティ市場予測 国内クラウドセキュリティ市場予測(出典:IDC Japan)

 クラウドセキュリティそのものは、全体で18.0%ほどの成長率が見込まれているものの、現状ではまだ市場規模も小さい印象だろう。昨今のクラウド利用状況を鑑みれば、さらなる成長が期待できそうなイメージを持たれる方もいるはずだ。しかし、今企業が置かれている状況は、社内でどんなサービスが利用されているのかの可視化ができてないレベルにあり、まずはその棚卸をしていく段階にあるのが実態だ。

まだ棚卸がうまくいっても、どういったセキュリティ基準で運用していくのかのポリシーを設計していく段階で、各クラウドサービスに対するレーティングに悩む企業は少なくない。何を基準に良しとするのか判断することが困難な企業も多く、そのあとのステップに進みづらい可能性もある。しかも、クラウドセキュリティゲートウェイの中心となるCASB(Cloud Access Security Broker)は海外ベンダのソリューションが中心であり、クラウドサービスのスコアリング機能が実装されているものの、国産クラウドサービス事業者への対応は十分な状況ではない。そこは大きな問題として横たわってくるため、本来は爆発的な伸びが期待できるはずだが、まだその状況には至っていないのが現状だろう。

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