Amazonは世界最大級のオンラインショッピングサイトだ。1994年の創立以来、成長を続け時価総額が1兆ドルを超えた。巨大なTech企業として誰もが認める存在となったが、そろそろ方針を転換する時期に差し掛かったのか?
Amazonの創業者でありCEOのジェフ・ベゾス氏の資産は1660億ドル以上、ビル・ゲイツ氏の資産を倍以上も上回るという。大成功の裏には収益性は二の次で、利益を追わず顧客の拡大を図るという徹底した姿勢があった。ところが方針を撤回して「もう売りたくない」と言い出した。一体何が起きようとしているのか。
Wall Street Journalによれば、ベゾス氏が売りたくないといったのは「CRaP」。直訳すると「くそ」のことだが、何も排せつ物を取り扱いたくないといったわけではない。Amazon内部で「Can't Realize a Profit」と呼ぶ、利益を出さない商品の取り扱いをやめる方針を打ち出したのだ。
例えばペットボトル入りの飲料やスナック菓子のような15ドル(約1700円)に満たない商品群だ。価格の割に重かったり、容量がかさばったりするCRaPを出荷すると、輸送費が高くなり利益が出にくい。反対にゲームソフトや電化製品といった商品はパッケージも小さく、輸送費も安くなるので利益が出やすい。
既にAmazonはCRaPの排除を始めている。Wall Street JournalがAmazon幹部やコンサルティング企業から得た情報によれば、メーカーに対して「パッケージを変更せよ」という要求を突き付けている。
コカ・コーラは代表例だ。Amazon Dash Button(専用のボタンを押すと即時注文できるサービス)を利用すると、1押しで6本入りの飲料水が6.99ドルで購入できた。だが2018年8月に突然サービス内容が変更された。1押しが24本入りで37.2ドルになっただけでなく、1本当たりの価格も1.17ドルから1.55ドルに値上がりした。
しかもAmazonは在庫を持たず、コカ・コーラの倉庫からパッケージが配送される仕組みになった。倉庫代や輸送費まで削減して「徹底的に利益を追求」する姿勢に転換したのだ。同社は15%のコストカットを目標に掲げる。
Amazonはネット小売というスタイルを確立し、多くの顧客を抱える。メーカーの多くはAmazonの流通システムに依存しているのが現状だ。専門家は「Amazonから無理難題をふっかけられても完全に拒否するのは難しい」と解説する。
Amazonの幹部の中には「CRaP排除が全体の売上高の落ち込みにつながり、メーカーに負担をかけるリスクがある」と懸念する人もいる。だが同社の2018年の利益率が非常に大きく伸びたのも事実だ。
今のところAmazon.co.jpで目立った動きはなさそうだが、いずれ同じ状況になる可能性は高い。さて、どうなるか。
上司X: Amazonが「CRaP」をなくして利益を追求する方針に切り替えたという話だよ。
ブラックピット: 商品を「くそ」なんて呼ぶんですねえ。
上司X: 俺はAmazon依存度が高いから、日本は追従しないでほしいのだが。
ブラックピット: 2回連続でAmazonの話題を取り上げるところからしても、依存度の高さが分かりますよ。どれだけ気にしているんですか。
上司X: Amazonで体温計に使うボタン電池を買ったんだよ。ついでに他のサイズのボタン電池も買っておこうと思って、3種類ぐらい同時に購入したんだ。そしたら……。
ブラックピット: そしたら?
上司X: 何と3種類が別々に、しかもボタン電池のパッケージよりはるかに大きい段ボール箱で届いたもんで驚いたよ。Prime会員だから送料無料なんだが、さすがにこれってどうなのと思ったね。
ブラックピット: 出荷の都合なんでしょうけど、流通にも影響は大きそうですね。CRaPよりも先に改革すべきですよ。
上司X: 日本はAmazon以外のネット通販も充実しているからな。いつAmazon離れが起こるか分からないぞ。俺は完全にPrimeの囲い込みにやられてしまっているけどな。
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)
中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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