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LINE WORKSとBoxの合わせ技、創業100年の老舗が業務効率化の秘密を明かす(2/2 ページ)

» 2019年08月23日 08時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]
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BoxとLINE WORKSで社内託児所での画像データ活用

 同社は、セキュリティの高さと豊富な連携ソリューションを理由に、Boxも導入する。現在は、複合機連携、スマートフォン連携、シングルサインオン、外部とのコラボレーション機能などを活用する他、LINE WORKSと組み合わせた活用も積極的に試している。

 複合機連携とは、複合機でスキャンして電子化した書類を直接Boxに保存し、保存した書類をどの拠点の複合機でも出力できるようにする機能。これによって、スキャンや文書の保存、印刷の工数が減り、情報共有の手間も削減できた。

 「Boxのストレージに、商品のレシピをはじめ、パッケージデザインデータ、新製品開発情報、試作情報、生産ナレッジ、社員情報、先人の知恵などあらゆる情報を格納しています」(山崎氏)

 LINE WORKSとの連携に関しては、社内託児所での活用例が紹介された。「社内託児所では、イベントの際に撮影した写真を壁に貼り出して、保護者の方々に選んでもらっていました。今は、BoxとLINE WORKS連携機能を使って画像を共有しています。具体的には、保育士がお子さまの様子を「Box Capture」という機能でスマホからBoxに直接アップロードし、その共有リンクをLINE WORKSの外部連係機能で保護者の方のLINEアカウントに送付します。大変喜んでいただいています」(山崎氏)

チャットbotからBoxコンテンツを検索

 LINE WORKSで稼働するチャットbotを作成し、問い合わせの一次回答を自動化するシステムも開発している。「社内のアンケート調査で、従業員が1日に約48分もの時間を問い合わせに費やしていることが分かりました。主に社内のシステム関係、総務・人事関係、商品情報についての問い合わせが中心ですが、業務効率を上げるには問い合わせ時間を削減することが必要と考え、チャットbotによる自動対応を考えました」(山崎氏)

 導入前の調査では、社内で発生する問い合わせのうち、42%の質問項目をチャットbotで対応できること、問い合わせの10%でも削減できれば十分な導入効果を得られることが分かった。そこで、メタバーズのチャットbot作成ツール「Botbird」を利用してシステムの構築を開始。しかし、問い合わせと回答のシナリオ作成に苦労したという。

 「シナリオ作成は、大変な作業でした。やっと作ったシナリオも、運用してみると回答の精度が低い。そこで、シナリオにはない問い合わせに対して、関連する情報をBoxに格納したコンテンツから自動的に探して回答する仕組みを構築しました」(山崎氏)

 Botbirdを開発するメタバーズの島谷直芳社長は、「Botbirdは会話の種類によって、シナリオに沿って回答するのか、あるいはBoxのコンテンツを検索するのかを切り分けられます。後者の場合は、LINE WORKSで入力したキーワードを基に、Boxのコンテンツを検索し有用な回答を抽出します」と語る。このチャットbotは井村屋の頭文字をとって「アイちゃん」と呼ばれている。

 「アイちゃん」の運用が始まった当初は、従業員がLINE WORKSで「アイちゃん」を探して操作することに慣れていなかったため、利用率が上がらなかった。そこで山崎氏はちょっとした工夫をした。

 「当社は、従業員に、日々の売上実績をメールで送信する文化がありました。基幹システムと日報送信サーバを使った仕組みです。この仕組みを生かして、実績データをBoxの特定フォルダにコピーし、そのフォルダからデータを定期的に抽出して、『アイちゃん』がLINE WORKSのトークに配信するようにしました。これによってアイちゃんの存在が浸透し、利用率が上がるのではないかと期待しています」(山崎氏)

 山崎氏は「BoxとLINE WORKSの導入および連携によって、当社の働き方はかなり変わりました」と評価する。今後も外部パートナーや海外とのコミュニケーション、コラボレーションに向けた「NEW NEXT」と呼ぶチャレンジを続けていきたいと、講演を締めくくった。

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