川崎フロンターレと富士通は、チケットの不正転売をRPAによって自動的に発見する実証実験を行った。5分で最大約300件の不正転売チケットをリスト化したというが、その仕組みは?
働き方改革を背景に期待を集めるRPA(Robotic Process Automation)。これまで大手企業を中心に、金融機関におけるバックオフィスでの活用事例などが話題を集めてきたが、スポーツやコンサートの不正転売チケットを見つける業務においても活用が始まった。
スポーツやコンサートなどのチケットの不正転売については、2019年6月14日に「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」(チケット不正転売禁止法)が施行され、一定の成果を挙げている。だが、チケット不正転売禁止法が規定する「特定興行入場券」に該当しない日時や座席の指定がないチケットは規制対象外だ。法律で規制されない転売チケットについては興行主が自主的に対策するしかない。
川崎フロンターレでは、職員が転売サイトなどを日々閲覧し、情報を取得・分析していた。こうした対策は負荷が高く、現状の把握や転売対策を講じることが困難だったという。こうした状況を背景に、川崎フロンターレと富士通は2019年7月11日〜9月30日にかけてRPAを活用してチケット転売情報を収集し分析する実証実験を実施。実証実験の結果、正規価格よりも高い値段で販売されている約70件から300件の不正転売チケットを約5分で一覧化できたというが、どのような仕組みなのか?
富士通が開発したRPAパトロールロボットにチケット転売サイトを定期的に循環させ、出品されている川崎フロンターレのチケット情報の中から、出品者IDや出品日時、出品名、出品画像、落札金額などを収集。不正転売された可能性の高いチケットを一覧化する。
不正転売を発見した場合は、チケット転売サイトに掲載取り消しを依頼。高額出品されたチケットを実際に購入して、年間チケットであれば出品者への座席利用禁止といった措置をとった。
その他、RPAロボットによって収集したデータを解析して、転売チケットの出品数が多い時期を把握し、SNSで不正転売に関する啓蒙活動を定期的に実施するようにしたという。
川崎フロンターレと富士通では、実証実験結果を基に、今後も具体的な対策について共同で検討するとしている。また、チケットだけでなくサイン入りグッズなどの限定品への適用も検討中だ。
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