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IT資格の取得状況(2019年)/後編

従業員の資格取得を促進させるには、会社のバックアップ体制も重要だ。資格の取得支援というと「受験費用の負担」や「報奨金」などが挙がるが、従業員はお金や昇進以外にも求めるものがあるという。

» 2019年12月12日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 キーマンズネットは2019年11月5日〜21日にわたり、「IT関連の資格保有に関するアンケート」を実施した。全回答者数194人のうち、情報システム部門は29.9%、製造・生産部門が19.1%、営業・販売・営業企画部門が13.9%、経営者・経営企画部門が7.2%などと続く内訳であった。

 今回は、IT資格の「取得までの期間」や「学習方法」、企業が設置する「資格取得の支援制度」など、資格取得までの過程や支援制度についての現状を把握するための質問を展開。なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。

資格取得に掛かる学習コストはどのくらい?

 前編は全体の75.3%がIT資格を取得済みであることなど、IT資格の取得状況と保有する資格、これから取得予定の資格などについて触れた。後編では資格取得に至るまでの学習方法や企業が設置する支援制度などについて、読者の回答を紹介しよう。

 まずIT資格の取得者は、学習時間をどの程度割いているのだろうか。試験勉強を開始してから受験するまでのおおよその期間を聞いたところ「4カ月〜6カ月」が最も多く37.7%、続いて「1カ月〜3カ月」34.9%、「1カ月未満」7.5%と、全体で80.1%が半年以内に受検していることが分かった(図1)。この結果を資格別に見ると、「ITパスポート」や「情報セキュリティマネジメント」「基本情報技術者」などは6カ月以下と比較的学習時間が少なく、「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」「PMP(Project Management Professional)」「データベーススペシャリスト」などは、受験までの準備期間を長く取る傾向にある。

図1 資格勉強を開始してから受験までのおおよその期間

 学習方法については「参考書を購入し独学で勉強した」が87.7%で、大多数を占めた。続いて「通信教育やe-ラーニングを受講した」15.8%、「社内外の勉強会や学習サークルで勉強した」8.9%となった(図2)。その他では「実務経験」や「OJT」などの声も挙がり、業務経験がそのまま資格学習につながるケースもあるようだ。

図2 資格取得に向けた学習方法

お金だけじゃない、これからの資格支援制度に望むもの

 優秀な人材の採用や従業員の自己啓発の促進を目的に、資格取得に掛かる学習費用や受験料の補助、資格取得者に対する報奨金や資格手当など、資格取得支援制度を設ける企業もある。読者に対して「勤め先では、資格取得支援制度またはそれに準ずる制度があるか」を尋ねたところ、全体の56.2%と約6割の企業が何らかの支援制度を設けており、5001以上の大企業では77.8%と約8割で設置済みであった(図3)。

図3 資格取得の支援制度の有無(従業員規模別)

 勤め先に支援制度が「ある」と回答した層に、支援制度の内容を尋ねたところ、最も多かった回答が「試験に合格した場合、会社が受験料を全額負担」の42.2%であった。合否の結果によって支給の有無が決まったり、全額支給や一部支給など金額が異なったりと制度の内容に違いはあれど、受験料を負担する制度を取り入れている企業が全体として多かった(図4)。

 「その他」の回答の中には、合格時に報奨金が支給される(支給金額は資格の難易度によって決まる)」「資格手当がある」「(資格の)更新料を支給してくれる」などの声もあり、企業活動上、従業員が資格を取得することが事業において何らかのメリットにつながる場合は、積極的に資格取得を支援する企業もあるようだ。

図4 勤務先の資格取得支援制度の内容

 一方で、資格支援制度に対する要望や課題点では「新しい資格が出てきているのに支援制度が追い付いていない(それらの資格が支援対象に含まれていない)」「対象資格が少なく、有名な資格しか(支援の)対象にならない」など資格取得の意欲はあっても企業側の支援制度が追い付いていないなどの課題や、「合否にかかわらず試験費用を負担して欲しい」「会社からの指示の場合は、参考書やセミナーなどの費用負担もして欲しい」「もっと取得に対する手当てを上げてほしい」など支援強化を願う要望が多数挙げられた。

 また「業務で忙しく、受験勉強の時間が取りにくい」「(資格取得に向けた)無料講座が開かれているが、業務時間外で受けなければならない」など、今の業務に手いっぱいで時間確保が難しいといった点を挙げる声も目立った。こうしたハードルを越えても従業員の資格取得を促進させるためには、支援制度の整備のみならず従業員のチャレンジを促進させるような施策が必要になりそうだ。

キャリアに「資格は必要ない」と考える心の内は?

 企業が支援制度を設置していても、資格取得に対して後ろ向きな意見を持つ層もいる。

 そこで「今後、IT資格を取得する予定がない」と回答した層にその理由を聞いた。その結果「必要性を感じないため」62.2%、「昇給や昇進につながらないなど資格を取得するメリットがないため」33.8%、「仕事などで忙しく勉強時間が取れないため」25.7%、「受験したい資格の難易度が高いため」16.2%、「受験費用が会社負担ではないため」13.5%と続く結果となった(図5)。

図5 資格の取得を考えない理由

 昇給や昇進につながらないことや受験費用が会社負担でないことが、従業員の“資格離れ”を作る一つの原因になっているようだ。それに対する打ち手として、資格取得率を高めたいと考える企業においては、支援体制の強化が課題となりそうだ。一方で「資格取得の必要性を感じない」層も多数存在した。これは資格に対しての“期待値の違い”が背景にありそうだ。

 例えば転職市場で見た場合、業界や職種にもよるが重要視されるのは個人の今までの経験やそこで出した成果、所属企業や団体で評価された取り組みだろう。この時、資格は本人の能力を測る一つの判断材料にはなるものの、本当の能力は「他者からどれほど評価されたか」「企業にどれだけ利益をもたらしたかどうか」で測られるケースが多いだろう。「資格の必要性を感じない」と回答した層は、自身のキャリアを考えたときに資格よりもそれに代わる経験や成果を積み上げることに重点を置いているのではないだろうか。このように個々のキャリア観と資格に対する考え方は切っても切り離せない関係であると言える。

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