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アップデート撤回? Windows定番アプリ「メモ帳」の明日はどっちだ:542nd Lap

初代「Windows」リリースから30年以上、常にすぐに使えるアプリが付属してきた。「アクセサリ」と呼ばれることもあるが、決して「オマケ」などではなくどれも実用的であることはご存じの通り。

» 2019年12月13日 10時00分 公開
[キーマンズネット]

 「Windows」のアクセサリアプリの代表格といえば「メモ帳(notepad.exe)」だろう。ソースコードやテキストファイルを開いたり作成したりできるテキストエディタだ。メモ帳は、「Windows 1.0」から付属する由緒正しきアクセサリ中のアクセサリと言える存在だ。

 「Windows 10」でもメモ帳は健在だ。だが、その今後について少しゴタゴタが続いているようだ。一体、メモ帳に何が起きているのか?

 Windows 10は年に数回(おおむね年2回)の「大型アップデート」を重ねて機能を改善する。話を2018年12月ごろに実施された「Windows 10 October 2018 Update」まで巻き戻そう。このアップデートに合わせて、これまでほとんど変化のなかったメモ帳に大きな変更が加えられた。

 それまでのメモ帳はWindows向けの改行コード「CR+LF」にしか対応しなかった。UNIXやLinuxのテキストファイルで使われていた改行コード「LF」や、かなり古いMac OSで使われていた改行コード「CR」は非対応だ。それらのOSで作成されたテキストファイルを開こうとすると改行が認識されなかったり文字化けしたりと不都合なことが多かった。

 それもまたメモ帳の特徴だったが、ついに改行コード問題が起きないように改善されたのだ。[Ctrl]+[+]や[−]キーによる文字の拡大・縮小、選択した文字列の「Bing」検索、折り返し検索・置換なども追加され、テキストエディタとしてそれなりの機能を持つアプリに成長を遂げた。

 往年のWindowsユーザーでありメモ帳ユーザーたちは歓喜した。シンプルながら機能が充実したテキストエディタがもっと使えるようになるのだから、歓迎しないわけはない。

 実はメモ帳の機能向上には誤解があった。実際に一般ユーザーはOctober 2018 Updateで一気に新機能が使えるようになったが、それ以前から「Windows Insider Program」に参加しているユーザーには細かいビルドアップのたびに少しずつアップデートが提供されていた。

 ユーザーに対する不公平感が強いと判断したからか、Microsoftはメモ帳をアクセサリアプリではなくOSと切り離された独立アプリとして扱うこととした。2019年8月16日、「Windows Experience Blog」でメモ帳をMicrosoft Store経由で配布すると発表した。アプリ名は「Windows Notepad」とされた。

 Windows Notepadのシステム要件として「Windows 10 ビルド18943.0以降」とされているから、2020年前半にリリース予定の「20H1」アップデート以降で使えるようになるだろう。ちなみにWindows Insider Programでは配信済みだ。

 旧メモ帳はアンインストール可能になり、何か問題が発生したらフィードバックを踏まえてMicrosoftが柔軟に対応する。新メモ帳の機能が向上するたびに旧メモ帳ユーザーもその恩恵を得られる……はずだった。

 しかしMicrosoftはそれを翻した。2019年12月4日、「Microsoft Storeを介したメモ帳のアップデートは一般提供しない」ことが発表された。理由は明確にされていないが、Windows Insider Programの参加者からの意見があったのかもしれない。

 現時点ではメモ帳が独立したアプリとして配布される未来はなくなったと思われる。期待していたユーザーはガッカリするだろう。だがメモ帳がアクセサリアプリとしてWindowsの標準機能から削除されることがなくなったとも言える。

 Windows 10になって失われた機能は少なくない。「Windows Media Center」「Windows フォトビューアー」など意外に便利だったモノが切り捨てられた。「マインスイーパー」も標準アプリではなくなってしまった。今回の件は「たかがメモ帳」と切り捨てられなくて良かったと言えるだろう。


上司X

上司X: Windowsのメモ帳について、いろいろ盛り上がっているという話だよ。


ブラックピット

ブラックピット: 独立アプリの話はなくなったということですかね、結論的に。


上司X

上司X: どうもそのようだ。現時点(2019年12月上旬)ではまだStoreに残っているが、環境によってはインストールできないケースもあるようだ。


ブラックピット

ブラックピット: 30年も続いているアプリですからね。アクセサリとして残ることになってよかったですよ。


上司X

上司X: そんな感じはするな。


ブラックピット

ブラックピット: Microsoftの開発陣は、機能アップと引き換えにメモ帳をアクセサリから除外にしようとしたんじゃ?


上司X

上司X: そこまで悪意はないだろう。OSのスリム化という意味では正しいのかもしれないけどな。


ブラックピット

ブラックピット: しかし僕の愛するマインスイーパーをなくしたことは決して許されることではありません。アレがあってこそ会社勤めも続いてきたというのに。


上司X

上司X: マインスイーパーが仕事の支えだったのか……。


川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


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