IDC Japanが発表したユーザー調査によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で先行きが不透明であるが、6割以上の企業がデータ分析への予算について、「前年と変わらない」または「増加する」と回答した。
IDC Japanは国内ビッグデータ/アナリティクス市場における企業ユーザー調査結果を発表した。データ分析の活用状況や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によるデータ分析向けIT投資への影響、データ分析人材の充足状況などについて、従業員100人以上の国内ITユーザー企業に勤務する4702人を対象に調査を実施し、データ分析に取り組んでいる企業に所属する回答者500人を抽出して分析した。
調査の結果、企業におけるデータ分析の活用状況は、2019年の調査から7.0ポイント増加し、データ分析の需要が高まりを見せた。産業分野では、製造、情報、通信、金融での増加が顕著であった。これらの産業分野では、保有する社内データが豊富であり、データ分析を推進する条件が整っていることが、データ分析の需要が高まった要因だとIDCは推定する。
データ分析への予算の増減は、新型コロナウイルス感染症の流行による行政の不透明感はあるものの、6割以上の企業では「前年と変わらない」または「増加する」としている。しかし「予算の増減は分からない」とした回答者が多く、いまだに予算が決め切れていない企業もあり、慎重な見極めが必要であることが分かる。
一方で、データ分析の専任組織の整備は2019年の調査と比較して4ポイント増加し、特に大企業でデータ分析専任組織化の整備が進んだと考えられる。しかし、データ分析専任組織の整備はデータ分析活用の増加と比較すると緩やかである。データ分析人材の雇用は依然として厳しい状況が続き、今回の調査によれば、約8割の企業がデータ分析に関わる人材が「不足している」と回答した。「十分な人材を雇用できている」とした企業は全体の7.2%にとどまり、データサイエンティストよりデータエンジニアの雇用が困難とした企業が多い結果となった。
IDC Japanの眞鍋 敬氏(グループディレクター)は「データ分析に対する企業の取り組みは進展している。しかし人材不足、専任組織化の不足は継続しており、また新型コロナウイルス感染症の影響による企業業績の悪化など、中長期の成長に対する阻害要因もみられる。データ分析に取り組むベンダーは、ユーザー企業のビジネスへのデータ分析活用を目的として、成果と経験値、事例を積み上げることが求められる」とコメントする。
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