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5Gの“幻滅期”間近? 最新のITインフラ技術トレンドをガートナーが発表

ガートナーは2020年9月10日、国内のインフラ技術に関するハイプ・サイクルを公開した。2020年に本格展開が期待されている5Gは過度な期待のピークに位置し、これから幻滅期へと向かっていくという。

» 2020年09月29日 06時00分 公開
[キーマンズネット]

 ガートナージャパン(以下、ガートナー)は2020年9月10日、「日本における未来志向型インフラ・テクノロジーのハイプ・サイクル:2020年」を発表した。ガートナーのハイプ・サイクルは、テクノロジーやサービス、関連する概念、手法などの認知度、成熟度や採用状況および各キーワードが実際のビジネス課題の解決や新たな機会の開拓にどの程度関連する可能性があるのかを視覚的に示したものだ。

 今回ガートナーが発表したハイプ・サイクルでは、インフラストラクチャのテクノロジーのうち、特に未来志向型と捉えられるものをはじめ、現在トレンドとなっている注目すべき重要なキーワードを取り上げている。

図1 日本における未来志向型インフラ・テクノロジーのハイプ・サイクル:2020年(出典:ガートナー、プレスリリース)

 ガートナーによると、「過度な期待」のピーク期の頂点に2020年から商用サービスの本格展開が期待されている次世代通信規格「5G」は位置付けられ、これから「幻滅期」に向かうとされている。

 ガートナーのアナリストの鈴木雅喜氏(バイスプレジデント)は次のように述べる。

 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、社会を取り巻くデジタル化のトレンドがさらに加速する中、企業のビジネスにとって重要なインフラ関連テクノロジーは、未来へ向けて大きな変化の時を迎えています」

 2020年版の同ハイプ・サイクルには、人間と一体化してその能力を拡張する「ヒューマン・オーグメンテーション」が新たに追加された。2019年版で「過度な期待」のピーク期に入った5Gはさらにポジションを進め、2020年版では頂点に位置付けられ、2019年版で幻滅期の谷に向かっていた「IoT(モノのインターネット)」「量子コンピュータ」「DevOps」「AI(人工知能)」「スマートロボット」「ブロックチェーン」「拡張現実(AR)」は、2020年版でも同様に谷底へ下降し続けている。一方、同じく幻滅期にある「ロボティック・プロセス・オートメーション」と「デジタル・ヘルス」は谷底を脱し、本格的な普及期に移り始めた。

5GのこれからとCOVID-19で普及が進む技術とは

 COVID-19を受け、世界各国でビジネスが停滞していることから、2020年に予定されていた5Gの標準化や開発関連の動向にも影響があり、検証などが遅れているケースも見られる。一方で、5Gを介したリモートでの各種作業の支援などに対する期待が膨らみ、通信サービス業やサービス設備を提供するベンダーはすでに実証実験を進めている。

 ガートナーによると、現在は標準化が待たれる機能を含め、商用化に向けた準備がさらに進むフェーズに入っているという。5Gは、携帯電話やスマートフォンに向けた単なる通信サービスではなく、自動車や工場、店舗、家電製品など多様なモノのデジタル化をスコープに入れたテクノロジーとして開発されているため、企業のIoTやAI導入を推し進めるとも期待されている。

COVID-19の拡大で普及が進むRPA

 2020年、国内のロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)市場の成長と大規模化により参入ベンダーが増え、競争も激化した。

 ガートナーによると一部、RPAの継続利用を見直す企業が見られるものの、多くの企業はRPAの実態を理解し、過剰な期待を抱くことなく、RPAや関連隣接領域のベンダーやテクノロジーの動向に注目して適用範囲の拡大に取り組んでいるという。

 さらに、COVID-19の影響を受けた業務コスト削減やテレワーク実現のための施策として、RPAによる業務自動化をいっそう加速させる動きも見られ、適用領域は予想以上にスピーディーに拡大する可能性があると予測する。市場のRPAに対する現実的な理解が深まったことで、同テクノロジーは幻滅期の底を打って本格的な普及を目指し始めている。

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