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5GとAIに加え、宇宙開発まで実用化間近? 最新技術事例ショウケース

5Gや宇宙衛星、AIなど注目の最新技術は、どう現場で活用されるのだろうか? 2020年から運用や実証実験が始まる事例を取り上げたい。

» 2020年02月25日 08時00分 公開
[二瓶 朗キーマンズネット]

 NTT中央研修センター(東京都調布市)で2020年1月15日、「NTT東日本 現場力向上フォーラム」(以下、現場力向上フォーラム)が開催された。同フォーラムは、NTTグループの従業員の電気通信設備保全スキル継承やノウハウの横展開を目的に開催されている。今回で13回目の開催だ。メディア向けに開放されたイベントの一部から、5Gや宇宙開発、AIの取り組みを紹介する。

ついに見えてきた。ローカル5Gの実用化

 そもそもローカル5Gとは、許可を受けた建物やエリアといった比較的小規模なローカルエリアに限定し5G回線を使用できる通信規格を指す。技術的には5Gと同じネットワークを一般企業や自治体が総務省に申請し、周波数を割り当てられることで使用可能となる。NTT東日本は東京大学と産学共同で設立した「ローカル5Gオープンラボ」の環境構築のために2019年12月24日に無線局免許の申請を済ませている。(編集部注:2020年2月21日付の発表によると、NTT東日本と東京都、東京大学の間で、ローカル5Gの環境整備・利活用に関する連携協定を締結した)

ローカル5Gとは

 ローカル5Gオープンラボは、現場力向上フォーラムのデモンストレーションブースで「ローカル5G」の概要やユースケースなどを解説した。ローカル5Gの社会実装に向けた技術育成を目的とする同ラボでは、検証結果といった情報を開示することを条件に、参画するパートナー企業や大学を募っているという。ローカル5Gオープンラボの正式稼働は2020年2月末を予定している。

ローカル5Gオープンラボの概要

 デモンストレーションでは、映像伝送デモとして高画質映像のリアルタイム伝送を実施し、Wi-Fiと比較した。その他、地域BWA(Broadband Wireless Access)で活用を想定していた2.5GHz帯の帯域を自営無線として使用し、自前でLTEネットワークを構築してプライベート利用を可能とする「自営BWA」も紹介されていた。自営BWAを5G通信と併用することで、より実用的なローカル5G通信網の構築が可能となる。なぜなら、5G通信で利用される高周波数帯(28GHz帯)は、届く距離が短く直進性が高くコンクリートなどに遮蔽されやすいため、単独では4Gのような面的なエリア構築を苦手とする。自営BWAとともに活用することでこの課題の解決が期待されている。

自営BWAとは

宇宙からの目で防災対策、地方の産業、観光業を支援

 NTT東日本は人工衛星が計測したデータを人工知能(AI)で解析し地域防災や農業などの1次産業活性化に役立てる実証実験も取り組む。第1弾として、長野県の千曲川河川氾濫時の衛星データを基に地域ごとの被害予測を算出し、防災対策に役立てるという。

 防災対策としては、IoT(Internet of Things)センサーで特定の対象データを取得する調査と、人工衛星やドローンを用いて広域な観測網でデータを取得する調査がある。同社の宇宙事業による防災対策は後者に当たり、河川氾濫時の氾濫箇所や浸水地域といった災害状況を迅速かつ広域に把握することを目指している。

NTT東日本の宇宙事業

 2019年10月に発生した「令和元年東日本台風」では、長野県千曲川の氾濫により同社の通信設備も被害に遭った。今後、災害発生時に従来よりも速く詳細な被害状況を把握するために2020年の台風シーズンに向けて実用化を目指しているという。

 また、衛星データのAI解析によって、農業や漁業といった第一次産業の活性化も狙う。例えば、耕作地の衛星データと気象データを掛け合わせることでより生産効率の高い方法を算出するなど、これまで把握が難しかった情報を取得し活用することを予定している。さらに、宇宙開発関連企業とコラボレーションし、第一次産業に加えて観光客の流れを衛星データで可視化することで、観光業の新たなエコシステム構築も目指しているという。

 防災対策の実証実験は2020年2月から長野県にて開始し、同年10月には他県への展開も予定している。

電信柱やマンホールの目視点検を自動化

 次に紹介するのは、通信インフラネットワークのアクセス網を支える電信柱やマンホールなどの「架空構造物」点検におけるAI活用事例だ。架空構造物は屋外に設置されているため、運用に耐えうるかどうかの確認業務は欠かせない。

 この事例では車載カメラで電信柱を撮影し画像認識AIで解析し劣化を把握する。従来は、撮影された画像を人間が目視で点検し、問題がありそうならば現地に赴き実物をチェックする体制だった。こういった人的作業では時間がかかるだけでなく従業員による見落としなども起きかねない。

 そういった課題を解決するのが、画像認識AIだ。これまで作業員が培ってきた点検ノウハウをAIが学習し、劣化部分を自動検出する。2020年4月ごろにはシステム構築が完了し、2020年7月には運用が開始される予定だという。

目視点検自動化AIとは

 その他、eスポーツイベントの対戦ネットワーク用通信インフラ敷設のデモンストレーションとしてゲームの遠隔対戦実演や社員による技能競技会など多数の展示が実施されていた。

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