河野大臣の「脱ハンコ」の呼びかけに、企業はどこまで応えたか? 市場調査から探る
コロナ禍により「脱ハンコ」「業務のデジタル化」に再び企業の目が集まり、政府も押印業務の見直しを推進する。そうした動きの中で、実際にどこまで進んだのだろうか。調査レポートから実態を探る。
IDC Japanは「国内電子サインソフトウェア/サービス(注)の市場動向」を発表した。
(注)IDCでは、電子サインソフトウェア/サービスを、IDCがソフトウェア機能市場として定義するドキュメントアプリケーションの中のサブマーケットの一つと捉え、「電子文書に関して安全、正確かつ法的な契約/同意手続きを行うソフトウェアおよびクラウドサービス」と定義する。
電子サインソフトウェアおよびサービスは、働き方改革関連法の施行により、ワークフローの見直しやドキュメントの電子化、場所に依存しないテレワークの推進において利用されてきた。そしてここに来て、COVID-19の感染予防の対応策として、非対面/非接触での業務遂行あるいは在宅勤務、リモートによる業務の増加、押印業務の見直しなどにより、電子サインソフトウェアおよびサービスの利用機運が再び高まりを見せている。
河野行政改革担当大臣は「ハンコの廃止」を強く呼びかけ、業務のデジタル化を推進しているが、今後、電子サインソフトウェアやサービスの利用率、市場規模ともに高い成長率で拡大することが予想される。
実際に「脱ハンコ」はどこまで進んだのか
2020年7月にIDCは、国内における電子サインの利用状況に関するユーザー調査を実施し、国内企業における電子サインの利用率と電子サインの適用文書について、調査結果を本発表で明らかにした。
それによれば、社内外の用途において、自社システムやクラウドサービスを合算した電子サインの利用状況は3割程度の状況で、電子サインの適用文書は、「発注書」(47.0%)、「契約書」(40.9%)、「検収書」(34.0%)などの文書が上位を占めた。
企業対企業の電子サイン利用は普及しつつあるものの、企業対消費者間の電子サインの利用率は、消費者の電子サインに対する理解や、本人/本人性確認におけるセキュリティ面での懸念、確認手段の理解に課題があるとIDCは考え、今後電子サインが広く適用されるためには、電子サインの類型や機能、関連法案に関する幅広い市場理解が必要であるという。
※現在、国内では電子サインおよびソリューションが複数存在し、電子サインを表す用語は、ベンダーや関係省庁、報道機関など情報の発信元によって異なる。
現在IDCでは、電子サインを検討中のユーザー企業およびそれを支援するITサプライヤーが電子サインを導入するに当たって「留意すべき国内電子サインソフトウェアおよびサービスの分類」や「電子サイン関連法の動向および省庁見解」「電子サインによる契約を有効にするための技術要件」「ユーザーの利用動向」など、電子サインソフトウェアおよびサービスに関する幅広い項目を調査、分析している。
IDC Japanの太田早紀氏(ソフトウェアグループ マーケットアナリスト)は、「今後電子サインソフトウェアはユーザー企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する中で導入するソリューションの一つとして、広く利用されることが予測される。ITサプライヤーは、電子サインの適用範囲を決定するための関連ワークフロー分析やコンサルティングの提供、ユーザー企業ごとの利用に適した電子サイン方式の適切な提案、電子サイン導入を起点としたDX推進をユーザー企業に提案するべきだ」と分析している。
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