メールからの情報漏えいは、主にヒューマンエラーから発生する。内閣府の対策も話題になり、人間のミス全てをなくすことは不可能だという前提に立ったセキュリティソリューションが注目を集めている。
メールの宛先誤送信やファイルの添付ミスは、ヒューマンエラーによって発生する。人間のミスを完全になくすことは困難だという前提に立った「誤送信防止ツール」に注目が集まっている。
国内では、添付ファイル付きメールを送信する際のセキュリティ対策として、長らく「PPAP(Pre send Password file After send Password)方式」が採られていた。添付ファイルをZip形式で暗号化して送信した後に別メールでパスワードを送信する手法だが、メールの手間が増えること、添付ファイルの中身をウイルスチェックできないことなどから、セキュリティ面で問題があると指摘されている。
内閣府は2020年11月にPPAPの廃止を発表した。これを受けて、添付ファイルをWebサイトからダウンロードする機能やサービスのニーズが高まっている。
アイ・ティ・アール(ITR)は2021年5月11日、情報漏えい対策市場について2019年度の売り上げ実績と、2024年度までの売り上げ予測を発表した。
ITRはコンピュータフォレンジックの市場規模を、2019年度は対前年度比46.5%増、2020年度は同10.8%増を見込む。コンピュータフォレンジックはインシデント対応に不可欠であることから、インシデントの発生状況や件数によって急拡大する可能性があるとしている。SIEM(Security Information and Event Management)市場は、IT運用やSOC(Security Operation Center)支援としての需要が拡大し、急成長した。2019年度は対前年度比22.6%増、2020年度は同28.6%増の見込みだ。
メール誤送信防止市場は、企業のクラウドシフトが加速し、クラウドメールへの移行に伴う新規案件の増加で堅調に推移した。2019年度の売り上げは、対前年度比18.5%増の37億8000万円だった。
ITRはメール誤送信防止市場について、2019〜2024年度の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)を6.9%と見ている。2020年度の売上金額は対前年度比10.1%増の41億6000万円、2024年度には約53億円に達すると予測する。
ITRのコンサルティング・フェローを務める藤 俊満氏は、「電子メールの誤送信はヒューマンエラーであるため、ある程度の頻度で発生する。しかし電子メールは、ビジネスの重要インフラの一つとなっており、いかにこの発生頻度を下げ、被害を最小限に食い止めるかが重要な課題だ。PPAPにはパスワードを盗み見されるリスクがあるため、誤送信対策製品は今後、IRM(Information Rights Management)やDLP(Data Loss Prevention)機能の統合によって、送信後でもアクセス権限を管理できるようになり、セキュアな環境構築のための強力なソリューションになる」と述べている。
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