「2025年の崖」で知られる「DXレポート」を2018年に経済産業省が公表して以来、多くの日本企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みに力を入れてきた。2020年12月には「DXレポート2(中間とりまとめ)」として具体的なアクションも提示されたことで、取り組みやすくなったかのようにも思える。
しかし、実際には多くの取り組みが「見かけだけの『DXごっこ』になっている」とAIスタートアップ企業STANDARD代表取締役CTOの鶴岡友也氏は指摘する。STANDARDは、IoT関連のサービスを提供する企業だ。3000社以上のDXを支援する中で「DXがうまくいかない」実態を目の当たりにしてきた。
鶴岡氏は、企業のDXを阻む3つの落とし穴を説明し、DXの成功確率を挙げるためのPoC(Proof of Concept)の進め方と必要な人材スキルについて解説した。
本記事は、オンラインセミナー「脱DXごっこ!DXを成功に導く人材のスキル解説」(開催:STANDARD)の内容を基に、編集部で再構成した。
同氏によれば、DXプロジェクトの阻む落とし穴は主に「アイデアの質が低い」「人を巻き込むのが難しい」「PoCマネジメントができない」の3つだ(図1)。
「アイデアの質が低い」とは、解決すべき課題を発見できていない、アイデアが収益に結び付ついていない状況を指す。また「人を巻き込むのが難しい」企業は、DXが全社ゴトの取り組みになっていない、現状業務が忙しくて現場での優先順位が下げられる、前提知識に差があり議論がかみあわないといった状況に陥っている。
「PoCマネジメントができない」企業は、DXを推進するための要件定義が分からない、成功の基準がなく本開発の投資が判断できない、ビジネス適用や運用につなげらなれないといった課題を抱えているという。
「逆に言えば、この3つをつぶすことができれば、DXプロジェクトはほぼ失敗しないということです」(鶴岡氏)
こうした落とし穴を避け、DXを成功に導くにはどうしたらよいのか。またPoCを失敗せず、質の高いアイデアを醸成できる人材や組織を育てるにはどうしたらよいのか。
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