「AI導入は数億単位の費用がかかる」「ツールが難しい」「長期のPoCで取り組みが止まる」――こうした常識を覆し、費用は通常の100分の1程度、現場ユーザーでも活用でき、1回のPoCを15分にまで短縮したAIの分析ツールがある。
「AI(人工知能)導入は数億単位の費用がかかり高すぎる」「ツールが難しい」「長期のPoC(Proof of Concept)でプロジェクトが止まる」――AIの取り組みをはじめた企業からはこのような嘆きが聞こえてくる。結局は、資金力や人材リソースなどの「体力がある」一部の企業しかAI導入を成功できないのではないか。
この状況を覆し、企業規模やAIに詳しい人材の有無を問わずAIを活用できるようにと、導入費用を数十万円程度にまで引き下げ、事業部門のユーザーでもAIによる分析を可能にしたツールが開発された。あるユーザーは、現場がAIを使った予測分析を日々実践することで生産管理に役立てたり、「7割もの」業務工数の削減に成功したりしている。
しかし、本当にそのようなことが実現し得るのだろうか。aiforce solutions CEOの西川智章氏に、企業におけるAI活用の実態と課題、「AIを読み、書き、そろばんレベルに」しようという同社の取り組み、開発したツール「AMATERAS RAY」の具体的な特徴について話を聞いた。
――企業がAIを導入する際の課題についてお聞かせください。
多くのユーザー企業がAI(人工知能)活用に関するリリースを出し、AIの導入が進んでいるように見えます。しかし実際は、ほんの一部の大企業が一部門でAIプロジェクトを動かしているだけにとどまっている状況です。
私は前職のコンサルティング企業でビッグデータ分析などに携わってきましたが、AI活用が進まないのは、商流に問題があると気付きました。導入費用が非常に高いこと、AIのノウハウを持つデータサイエンティストが不足しており、彼らの給料が非常に高いことに原因があります。導入や運用に数千万円〜数億円という費用が必要な場合もあります。中堅中小企業には手が出ません。
――近年では、「PoC止まり」「PoC疲れ」といった言葉も話題になっていると思います。
はい。プロジェクトが始動してPoCまで進めたとしても、ほとんどの企業が実証実験の域を出ておらず、実業務で効果を得るところまで到達できていません。本来、実証実験は「多産多死」であるべきで、たくさん試さなければ成功に結び付きません。AI導入はPoCだけでも非常に高額で、500万〜8500万円と価格幅も大きい。
PoCに多くの時間がかかるという難点もあります。たった1つの結果を出すまでに3〜6カ月程度の時間がかかることはざらでしょう。しかも、その分析の中身はブラックボックスで、直接ユーザー企業に知らされることはありません。結果的に、成果を得るまで何度も実験を繰り返すことが不可能に近い状況です。
ユーザー企業にAIの知見が足りないことも悪い影響を与えているでしょう。多くの企業が「AIは具体的に何ができるのか」を理解できていません。一方で、メディアやベンダーが「AI万能説」や誇大広告を打ち出すことで、「AIなら何でもできる」というイメージが横行しています。2019年の3月には、英国のベンチャーキャピタルMCCがAI企業を名乗る2830社を調査したところ、その中で実際にAIの定義に当てはまる技術を持つ企業は約4割の1580社にすぎないというニュースが話題になりました。AIとは何か、それで何を実現したいのかが定まらないまま導入を決めた結果、PoCで挫折する企業が後を絶たない状況です。
――PoCから、実際にビジネスに取り入れられる案件化率はどれぐらいですか。
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