コロナ禍で最も知名度を伸ばしたツールの1つが「Zoom」だ。しかしオフラインとオンラインが混在するハイブリッドワークの時代において、最も普及した「Zoom Meeting」では不十分かもしれない。Zoomが発信した「Web会議の課題」とは。
「Zoom Rooms」は会議室に常設するタイプのWeb会議システムだ。われわれが普段「Zoom」と呼ぶWeb会議ツール「Zoom Meeting」との違いは、利用環境と専用ハードウェアの有無にある。Zoom Roomsはセットアップ済みのデバイスがサインインした状態で会議室に常設されるため、会議のためにPCが専有されたり、複数人が同室でミーティングをする際のハウリングなどを気にしたりする必要がない。
一方でZoom Meetingと比べると、一般的に認知度は低い。テレワーク/ハイブリッドワークを積極的に導入している企業においても、個人が無償ライセンスを活用したり、有償ライセンスを使いまわしたりしている例は珍しくない。
2021年5月25日、Zoomの日本法人であるZVC Japanは、同社の主催するウェビナーでZoom Roomsの特長と導入事例を紹介した。
オンラインでもオフラインでも「人が集まって交流する時間」の生産性を挙げる取り組みは必要だが、そのような中で、個人が使うZoom Meetingには適さないシーンがある。ZVC Japanの溝口康之氏はウェビナーの中で「オンライン会議“あるある”」として、以下のようなケースを挙げた。
上記のような問題が起きると、参加者の情報共有の質を落としてしまう。これらの課題は会議室を使えば回避できるが、代わりに以下のような問題が発生する。
前述した課題に対してZVC Japanが法人向けに提供を進めるのが、Zoom Roomsだ。汎用的なPCで動くため、PC本体とマイク、スピーカー、カメラ、コントローラ(「iPad」や「iPhone」などのスマートデバイス)、ディスプレイなどについて、同社が指定する特定のハードウェアはない。パートナー企業が提供するセットアップ済みのアプライアンス製品を利用すればリッチなミーティングができるが、推奨スペックを満たしていれば自社に余っているPCやモニターを組み合わせて利用しても問題なく動作する。導入は「サポート不要なほど直感的で簡単」だという。
Zoom Meetingはライセンスが個人にひも付けられるため、例えば会議の主催者が有償ライセンスを持っていない場合、会議時間が40分で途切れてしまう。しかしZoom Roomsはライセンスが端末(会議室)単位となるため、その会議室を使う人間であれば全員共通のサービスを利用できる。
ZVC Japanはハイブリッドワークに最適化したソリューションとして、Zoom Roomsの普及に力を入れている。もちろんZoom RoomsとZoom Meetingそれぞれから、同じ会議に参加することも可能だ。
特にTV会議専用システムと比較すると、専用端末を購入したりサーバを構築したりといった手間やコストが不要になる点は大きなメリットだ。
東京都の調査によると、都内企業におけるテレワークの実施率が低下している。2021年1月で64.8%だった実施率は、同年2月、緊急事態宣言下においても58.7%まで低下した。溝口氏はこれに対し「そもそもテレワークは、コロナ対策のために広まったものではない」と語る。
「コロナ禍以前から、生産性の向上や生産年齢の働き方改革を目的にテレワークの普及は進められていた。コロナ禍以降も、オンラインとオフラインが混在する『ハイブリッドワーク』の浸透は進むだろう」(同氏)
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