週休3日を含む休日増加や時短制度の導入状況について、Works Human Intelligenceが調査した。週休3日を阻む壁を専門家が語った。
働き方改革の文脈で一時脚光を浴びた週休3日制だが、業務量自体が減るわけではないため採用が難しいという声も聞かれる。
Works Human Intelligence(ワークスHI)は2021年8月5日、選択的週休3日制を含む休日増加や時短制度の導入、検討状況に関する調査の結果を発表した。同社の統合人事システム「COMPANY」のユーザーである大手法人を対象に実施し、46法人から回答を得ている。休日制度の導入率と週休3日を阻む壁を専門家が語った。
企業では、週休3日制を含む休日増加や時短制度の導入、検討が進んでいるのだろうか。調査結果によれば「すでに制度として運用中」と回答した割合は43.5%だった。続いて「検討しているが導入するかは未定」が15.2%、「これから検討する予定」は13.0%、「検討の予定はない」が28.3%だった。なお、本調査で問われる休日制度は、育児や介護、高年齢を対象とするものは含まれていない。
すでに運用中の企業に制度の運用期間を聞くと、「5年以上」が最も多く73.3%を占めた。ただし、「どのような目的でも制度を利用してよい」としている企業は少ない。制度の利用を認める際の事由を尋ねると、「療養の必要や障害がある場合の負荷軽減」と回答した割合が63.6%で最も高く、「目的を問わない」とした回答者は18.2%にとどまった。
一方、休日増加・時短制度の導入を検討していない企業にその理由を聞くと、「すでにフレックスタイム制や特別休暇など、労働時間の弾力化を進めており必要性を感じない」と「組合や社員からの要請がない」と回答した割合がそれぞれ38.5%(複数回答)で最も高かった。次いで、「利用する社員が見込めない」と「1日の勤務時間が長時間化すると健康状態の把握の負担が増える」がどちらも30.8%だった。
ワークスHIのWHI総研でフェローを務める井口克己氏は、企業が選択的週休3日制を含む休日制度を導入しない理由について「コロナ禍で在宅勤務とフレックスタイム制のコアタイムの撤廃が広く普及したため、現在の労働時間制度の枠組みの中でもボランティアや地域活動、リカレント教育に充てる時間を捻出できると想定しているためだ」とした。
特に週休3日の導入に当たっては、業務時間の短縮による給与の減額や制度設計の難しさも壁になる。企業は、制度を利用する従業員がそれほど多くないと考えており「週休3日制は、給与だけでなく時間外手当や退職金、社会保険などにも影響が及ぶため、制度設計には多くの時間がかかる。利用者が少ないと想定される制度の導入に対応することは難しい」というのが井口氏の見解だ。
企業が選択的週休3日制度の導入に前向きになるには、社会全体で労働時間短縮の機運が高まることや、ボランティア、地域活動、リカレント教育を促すような公的な支援の拡充が必要だという。
なお、政府は2021年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2021(骨太の方針)」で、選択的週休3日制の導入を企業に促し普及を図るとしている。この制度はボランティアや地方兼業といった多様な働き方の実現を目指しており、今回の調査は現時点での企業の状況を把握する目的で実施された。
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