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シンギュラリティとは? 定義やAIとの関係、歴史的背景を解説IT用語3分リーディング

シンギュラリティは2045年に訪れるとされる。「AIが人間を超える」「人間の仕事が奪われる」などの声もあるが、企業のビジネス環境の変化は既に始まっている。

» 2021年10月15日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

サマリー

  • ムーアの法則との関係、定義と歴史的背景
  • シンギュラリティの課題と現実のビジネスへの影響
  • 関連用語

 シンギュラリティ(Singularity:技術的特異点)とは、AI(人工知能)の性能が人類の知能を越えること、またはそのタイミングを指す。

 米国の人工知能研究者レイ・カーツワイル氏らが述べた未来予測の中で提唱された概念で、2045年頃に訪れるとされている。シンギュラリティによって従来人間にしかできないとされてきた知的活動の一部がAIで代替可能になり、それによって社会構造が大きく変化するとされる。

ムーアの法則との関係、定義と歴史的背景

 カーツワイル氏はシンギュラリティを「1000ドルで手に入るコンピュータの性能」で表現した。2017年の時点では「ネズミの脳程度」であったが2025年には人間一人の脳に並び、2045には全人類の脳の計算性能を上回る」と述べ、2045年前後にコンピュータが人間の脳を超えると予測した。

 シンギュラリティの予測の根拠とされるのが「ムーアの法則」と「収穫加速の法則」だ。

 ムーアの法則は、インテルのゴードン・ムーア氏が自身の経験に基づいて述べた法則だ。「半導体の集積技術は18カ月〜24カ月毎に2倍になる」というものだが、近年は微細集積が物理的な限界に近づいているとされる。

 収穫加速の法則は、シンギュラリティと共にカーツワイル氏が提唱する概念だ。複数の発明の結びつきがイノベーションを加速して科学技術は指数関数的に進歩するとし、ムーアの法則を超えて2045年頃にシンギュラリティが訪れると予測した。

 シンギュラリティは2005年に提唱された。2012年以降、ディープラーニングによるAI開発のブレイクスルーをきっかけに議論が進み、日本では2016年にソフトバンクの孫 正義氏が話題にしたことで注目を集めた。

シンギュラリティの課題と現実のビジネスへの影響

 カーツワイル氏の主張に対しては、懐疑的な意見もある。半導体集積の微細化や物理的な実験に関する要素を無視し、意図的にコンピューティングに関する要素のみを抽出しているという批判だ。

 一方で、ディープラーニングによるAIの進歩やブロックチェーンの実用化、スマートプロダクトの価格低下と普及などは現実のビジネスにも影響を及ぼし、収穫加速の法則を象徴する事象とされる。

 爆発的な変化が起きるのか、AIが人間の仕事を奪うのかなどについては議論が続く。ただし、人が担う仕事の一部がAIで自動化されること、それに伴うビジネス環境の変化は既に発生している。

関連用語

AIやシンギュラリティに関しては、技術的な概念を示す用語が多い。以下に一部を紹介する。

チューリングテストとは

 チューリングテストとは、1950年にアラン・チューリングが提唱した、知能の有無を判定するためのテストだ。人間が「人間のフリをしたコンピュータ」を見抜けるかどうかで判定する。2014年にウクライナ製のAIがこのテストに合格したとされ、シンギュラリティの単語とともに脚光を浴びた。しかし客観性や再現性の点で懐疑的な見方もある。

プレ・シンギュラリティとは

 AI研究者の齊藤元章氏が提唱した概念で、シンギュラリティの前段階に、スーパーコンピュータの飛躍的な性能によるプレ・シンギュラリティ(前特異点)が訪れるというものだ。同氏は2030年頃のプレ・シンギュラリティによって、エネルギー問題の解決や生活必需品の無償化といった社会構造の変化が起きると予測した。

第四次産業革命とは

 第四次産業革命とは、第三次産業革命(デジタル革命)に続く産業構造の変化を指す。革新の影響は産業技術やナノ技術、バイオ技術、量子コンピューティングなどさまざまな分野に及ぶ。AI技術の活用が不可欠とされ、実用化されたIoTやAI技術を生かしたスマート化が進んでいる。

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