Amazonの失敗から学ぶ「社員のメンタルケア」で忘れてはいけない視点
ワークシフトによって働き方の多様性と労働の効率化はかなったが、従業員それぞれが離れた場所にいると互いの状態が見えにくくなる。特に心の健康状態は把握しづらく、放置していると貴重な労働力を失う可能性がある。
米国通信大手ベライゾングループ傘下のVerizon Mediaが2021年6月に発表した調査によると、人事部で管理職に就く人の91%が「2021年はこれまでで最も仕事が大変な年だった」とし、約半数が「自身もメンタルヘルスの問題を抱え、助けを求めたことがある」と明かした。
回答者の87%がこの1年間で従業員に一番大きな影響を与えたものは「メンタルヘルス」だとし、93%が「メンタルヘルスの問題はビジネスの収益にも影響を及ぼした」と答えた。また、回答者の約3分の1が「メンタルヘルスの疾患を持っている」と回答し、この1年間が精神的な負担になっていたと認識していた可能性が高い。従業員からも心の健康支援に関する相談が多く寄せられたという。
Verizon Mediaの調査で、「メンタルヘルスの透明性」がこうした職場の支援につながる可能性があることが明らかになった。
Amazonもしくじった「社員のメンタルケア」の難しさ
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が従業員のメンタルヘルスに影響を与えるだろう」と予想できなかったわけではなかった。2020年9月、米保険会社のUnumは“メンタルヘルスの津波”の到来を予見し、特に共働きの親に大きなダメージを与えたと強調する。
Verizon Mediaの調査では、多くの職場のリーダーがメンタルヘルスに不安を感じていることも明らかになった。米国で人事、給与関連のクラウドサービスを提供するPaycorが発表したレポートによると、ビジネスリーダーの86%が「従業員のメンタルヘルスを心配している」と回答し、そのほぼ半数が「これに対してどのようなベネフィットやサービスを提供して支援すればよいのか分からない」と答えたという。
従業員を支援する方法を見いだした企業もある。Verizon Mediaは、Kellogg CompanyやSnap、Spotifyと共同で、従業員のサポート方法に新たな基準を設けることを目的とした取り組みを発表した。Hootsuiteは「Wellness Week(ウェルネスウイーク)」と呼ぶ1週間にわたる全社的な休暇制度を設けた。
しかし、こうした企業の取り組みは必ずしも従業員から感謝されるわけではない。Amazonは、従業員の心の健康をサポートすることを目的とし、小さなボックス「AmaZen」ステーションを導入したが、怒りと嘲笑を買った。AmaZenを電話ボックスに例える人もいれば、携帯トイレに例える人もいた。
以前に、ある情報筋が「Amazonの失敗は他の企業とって教訓になる」とHR Diveに語った。リーダーは、従業員に対するメンタルヘルスのサービスを拡充するとき、その提案を慎重に評価する必要がある。理学者や精神科医といったメンタルヘルスケアの専門家ではなく、資格やトレーニングを受けていない場合は、なおさらだ。
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