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» 2021年12月22日 08時00分 公開

基幹システムにRPA組み込み、年間2万4千時間削減した老舗IHIグループ業務プロセス自動化のためのRPA運用

RPAを単なるタスク自動化ツールとして終わらせず、プロセスの自動化、ひいては業務改善や働き方改革を実現するツールとするにはどうすればいいのか。そして今、IT部門が尽力すべき施策とは。自社の運用体制に最適化したRPA導入と運用体制の構築を実現したIHIグループの取り組みをまとめた。

[野依史乃,キーマンズネット]

 「今起きている働き方の変化は、職場に『Windows 95』が入ってきた時と同じくらいの大変革だと感じています。コロナ禍という外圧を受け、なし崩し的に始まった変化に対してIT部門がしっかりと備えられるかどうかで企業競争力に『K字』を描くような格差が生じるでしょう」

 これはIHIグループでRPA導入を進めてきたIHIエスキューブの亀田 彰氏(ビジネスソリューション事業部 副事業部長(兼)基幹業務グループ グループ長)の言葉だ。同氏は、IHIグループではなく亀田氏個人の見解だと前置きしながら「これから勝ち抜くためにIT部門が備えておくべき能力や機能」を、アシストフォーラム2021で語った。

本記事は「アシストフォーラム2021」での亀田氏の講演「Withコロナ時代の働き方改革! 完全自動化に向けたRPAの取り組みとこれから」を基に編集部で再構成した。

ビジネスモデルを変える余力をどうやって生み出すか

 IHIグループは、ペリー提督の黒船が来航した1853年に幕府の命令で隅田川河口にあった石川島に作られた洋式造船所をルーツに持つ。現在は発電設備を製造する「資源・エネルギー・環境事業領域」、水門やダム、橋梁、トンネルなどの社会インフラを担う「社会基盤・海洋事業領域」、自動車のターボチャージャーや工場設備などを作る「産業システム・汎用機械事業領域」、ジェットエンジンやロケットなどを手掛ける「航空・宇宙・防衛事業領域」の4つの事業領域を展開する。

 国内外に216社(2020年3月時点)を数えるIHIグループが一体となって成長するために3つの横串組織が2013年に立ち上がり、ビジネスモデル変革を進めている。その一つが亀田氏の所属するIHIエスキューブも連なる「高度情報マネジメント統括本部」(高マネ統括)だ。「高マネ統括はIoTやデータ分析、今で言うデジタルトランスフォーメーション(DX)を担う組織として立ち上がり、後に情報システム部門も合流しました」(亀田氏)。

 R&Dや事業部門の技術者が主体となって発足した高マネ統括は、クラウドとエッジの両方でプラットフォームを整備してIHIグループの製品をつなげ、得られたデータを分析することで顧客に新しい価値を届けることを目的に活動を始めた。亀田氏は「既存ビジネスが多忙の中で、ビジネスモデルを変える余力をどうやって生み出すかが課題でした」と語る。

デスクトップ型RPAの導入効果アリ、しかし「野良ロボットへの懸念」も

 それはちょうど「守りのITから攻めのITへ」というフレーズでIT部門の在り方が議論されていた時期と重なった。IHIグループの業務を標準化してBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)でまとめて処理しようという取り組みや、IT基盤のグループ共通化プロジェクトが立ち上がった。

 2018年にはBPOで標準化し集約した業務をRPAで自動化する試みも始まった。安価で導入しやすいデスクトップ型製品による試行で導入効果が確認できた一方で、社内から「RPAが増えたときの管理が大変ではないか」「野良ロボットをどうするのか」「Excelマクロの再来になるのでは」という意見が強く寄せられた。

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