IDC Japanによる最新予測では「働き方の未来」に関する市場は拡大を見込んでいる。ハイブリッドワーク需要でコラボレーションツールや人財管理ツールに注目が集まっているようだ。
IDC Japan(以下、IDC)は2022年1月6日、日本国内の「Future of Workstyle」(働き方の未来、以下FoW)に関する市場予測を発表した。支出額を基に算出した2020年の市場規模は3兆9091億円だ。同社は2020〜2024年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)を17.3%と見ており、2024年は7兆4002億円に成長すると予測する。
IDCはFoWを「ワークモデルを根本的に変えるコンセプトで、人とマシンの協働を促進し、従業員スキルと従業員エクスペリエンスを向上させ、時間や物理的な場所といった制約から解放された労働環境を実現するためのフレームワーク」と定義する。
同社はFoW市場を、Space(場所と時間にとらわれずにつながり、セキュリティが確保された環境で働く)、Augmentation(人とテクノロジーが協働する)、Culture(新しいデジタルツールを使いこなし、エンゲージメントと自律性に富む従業員を育てる)の3つの領域に分類して予測している。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により働き方は大きく変化し、3つの領域には劇的な変化が起きた。例えば、Spaceの領域ではリモートアクセス関連技術の導入が進み、コラボレーションツールが浸透した。Augmentationの領域では、RPA(Robotic Process Automation)やIPA(Intellectual Process Automation)を使った自動化の流れが加速した。Cultureの領域ではテレワークにより自律的な働き方が求められた一方、自宅での仕事状況を可視化するツールなども登場した。
では、3つの領域の市場の現況と予測はどうなっているのだろうか。
Spaceは、Future of Workstyleで最大の市場で、2020年の市場規模は2兆4564億円だ。Operational Performance Management(オペレーションパフォーマンス管理)や、Automated Customer Management(自動化された顧客管理)といったユースケースが同市場をけん引し、IDCでは2021〜2024年のCAGRは13.9%で拡大していくと見ている。特に、オペレーションパフォーマンス管理はIoT(Internet of Things)機器による施設や設備の動作確認の他、部品や設備を交換するタイミング検知といった新規需要を見込む。
Augmentationの2020年の市場規模は1兆3741億円だ。Collaborative Robotics(コラボレーションロボティクス)がこの分野の大半を占め、成長を支える。IDCは、2021〜2024年のCAGRを22.1%と予測する。
Cultureの2020年の市場規模は787億円と、3分野の中で最も小さいが、2021〜2024年のCAGRは28.2%と最も大きくなる見込みだ。同分野の最大のユースケースはOptimize HCM Operations(最適化された人材管理オペレーション)となる。テレワークが急拡大した状況下では人事考課の在り方を改革する動きが出ており、最新のHCM(Human Capital Management)に対する認知と理解が高まり、需要が拡大するとIDCは予測する。
IDCでPC、携帯端末&クライアントソリューションのグループマネジャーを務める市川和子氏は、「コロナ禍以降テレワークが拡大し、ワークスペースなどの環境整備が進んでいる。今後はテレワークとオフィス勤務を融合させたハイブリッドワークが定着し、FoW市場は順調に拡大する」と述べている。
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