HR DiveはHR領域の専門家であるWorkhumanの幹部に「良い上司と悪い上司の特徴や“部下が辞めない”良い上司の在り方とは何か」について話を訊いた。
従業員が退社する理由は、必ずしも会社が「悪い」からだとは限らない。むしろ多くの場合、「上司に恵まれない」という理由で退社している。Ten Spotが2022年1月に発表したレポートによると、回答者の46%は「現在、上司とウマが合わず仕事を辞めることを考えている」という(注1)。管理職でも81%が「上司が原因で辞めたい」と答えた。
HR関連のSaaS(Software as a Service)を提供するWorkhumanの顧客戦略担当エグゼクティブバイスプレジデントであるクリス・フレンチ氏によると、この2022年1月のレポートは、HR分野において長年の傾向が反映されているが、今回は少し違った方向性も示しているという。同氏は業界で20年以上、上司や経営陣に対する不満が原因で退社する人材を見てきた。「『上司への不満があり仕事をやめること』自体は新しいことではないが、コロナ禍など従来とは違う過去2年間のプレッシャーがのしかかってきたために、適任でないマネジャーの数が増えていると考えられる」とフレンチ氏はHR Diveに語った。
では、「悪い」チームリーダーとはどのような人で、なぜ生まれるのか?
Ten Spotの調査では、一部の従業員にとっての問題点としてマイクロマネジメントが挙げられた。フレンチ氏の観点では、非効率な管理職を作り上げるのは自分の役割の目的に対する誤った考え方だという。
フレンチ氏は「部下が良い仕事を達成する手助けをするのではなく、部下に『何かをさせる』のが自分の仕事だと思っているマネジャーがいるように見える」と指摘する。
「管理職は従業員を支援するために存在するのであって、その逆ではない。『部下に何かをやらせる』というマインドでは今の世の中はうまくいかない」(フレンチ氏)
逆に、有能または有望な上司の傾向として、部下が「軌道修正」する時に適切な手助けができることや、建設的なフィードバックを提供できることが挙げられる。
「良い上司は、部下の調子が悪い日もあることを理解し積極的にサポートしてくれる。部下の調子を尋ねたり、その日にあったことに触れてみたりして好ましい行動を褒める。キャリアの構築を部下と共に計画し、志向性を理解し、目の前にある障壁を取り除こうとしてくれる」(フレンチ氏)
最後に、フレンチ氏は、直属の上司と部下がお互いの"全て"となってしまう関係性は上司にとってもプレッシャーであり、不公平だとも指摘する。「一人の人間がそこにいる全ての人間に適切な環境を作り出すことは非現実的だ。人間関係と積極性、帰属意識(ビロンギング)と包含性(インクルージョン)の環境を作り出すことは全ての従業員の義務だ。その観点でリーダーシップを発揮するのがマネジャーの仕事だ」。
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