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「G検定」「E資格」とは? 難易度や合格率、問題の傾向を解説

AI(人工知能)を有効に活用できる人材の育成を目的として日本ディープラーニング協会が主催するもので、ゼネラリスト向けの「G検定」とエンジニア向けの「E資格」に分かれる。

» 2022年03月18日 07時00分 公開
[ITmedia]
  • ディープラーニング検定の概要
  • G検定/E資格の合格率
  • 試験範囲と例題

 ディープラーニング検定とは、ディープラーニングの知識と、適切な活用をする能力を持っているかを検定するものだ。日本ディープラーニング協会がAIを有効に活用できる人材の育成を目的に「ジェネラリスト検定」(G検定)、「エンジニア資格」(E資格)を主催するもので、これらをまとめて「ディープラーニング検定」という。

 2000年代の「第3次AIブーム」は、ビッグデータを基にAIが自己学習する機械学習の実用化と、特徴量をAIが自ら定義するディープラーニング(深層学習)の登場を背景に起こり、現在もそのブームは続いている。こうしたブレークスルーによってビジネスでのAI活用が活発化する一方、AIを活用できる人材の不足が深刻化している。日本ディープラーニング協会はディープラーニング技術の活用による日本の産業力向上を目指して設立したもので、検定は2017年の開始以降、受験者と合格者が増え続けている。

ディープラーニング検定の概要

 ディープラーニング検定はゼネラリスト向けの「G検定」とエンジニア向けの「E資格」に分かれる。

 G検定は事業でAIを活用するゼネラリスト人材に対して「ディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して、事業活用する能力や知識を有しているかを検定する」もの。3月と7月、11月に実施される(2022年時点)。受験費用は一般13200円、学生5500円。受験日から2年以内であれば半額で再受験できる。

 E資格はディープラーニングを実装するエンジニアに対して「ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有しているかを認定する」もの。2月と8月に実施される(2022年時点)。受験のためには同協会の認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了している必要がある。受験費用は一般33000円、学生22000円、協会の会員27500円。再受験の減額制度は無い。

G検定/E検定検定の合格率

 G検定の合格率は、2017〜2021年にかけて約57〜73%で推移している。2021年11月の検定では受験者が7399人、合格者は4769人で、合格率は約64%だった。受験者の年齢は20〜30代が3分の2を占める。

 E資格の合格率は、2018〜2022年にかけて63.31〜78.44%で推移している。2022年2月の検定では受験者が1327人、合格者は982人で、合格率は74.00%だった。受験者の年齢20〜30代が約7割を占めるが、2022年2月の試験では70代で3人が合格した。

試験範囲と例題

 G検定は試験範囲(シラバス)から出題される。2022年時点のシラバスは以下だ。

  • 人工知能(AI)とは(人工知能の定義)
  • 人工知能をめぐる動向
  • 人工知能分野の問題
  • 機械学習の具体的手法
  • ディープラーニングの概要
  • ディープラーニングの手法
  • ディープラーニングの社会実装に向けて

 「人工知能分野の問題」では以下のような問題が出題される。

Q:以下に挙げる用語は、第二次AIブームが起こった際に取り上げられた問題である。それぞれの問題の説明としてふさわしいものをそれぞれ1つずつ選びなさい。

(ア)フレーム問題

(イ)シンボルグラウンディング問題

1. 人間の持つ膨大な知識を体系化することが難しい。

2. 膨大な情報のうちから、必要なものだけを選んで考慮することが難しい。

3. 単語などの記号と、それの表す意味を結びつけることが難しい。

4. 膨大な知識を処理するための計算機の開発が難しい。

5. 十分なデータを取るためのインターネットを整備することが難しい。

 E資格は、シラバスからJDLA認定プログラム修了レベルの出題がされる。従来ソースコードを含む問題は「Python」で記述し「TensorFlow」などの機械学習系ライブラリに依存しない問題を出題していたが、2022年8月からは「PyTorch」またはTensorFlowを利用した実装も扱う。2022年時点のシラバスは以下だ。

  • 応用数学
  • 機械学習
  • 深層学習
  • 開発・運用環境

 E資格はシラバスの改定頻度が高く、例題は公開されていない。

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