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コロナ禍でますます燃えるオフィスラブ 社内恋愛の実態調査

新しい働き方の定着が進む中で、心身の不調や心配事について相談する機会が減ったり退職を考えたりする従業員が増えている。一方で社内恋愛はコロナ禍においても廃れない。ただし企業は、役職者の社内恋愛に厳しい目を向け始めている。

» 2022年04月04日 07時00分 公開
[Ryan GoldenHR Dive]
HR Dive

 従業員が転職を考える大きな理由に「オフィスでの人間関係」がある。仕事内容や給与に不満がなくとも、人間関係が悪ければ健康的に働くのは不可能だからだ。

 コロナ禍をきっかけにテレワークに移行した企業では、同僚と対面する機会が減って対人関係のトラブルが起きにくくなっているのか? ……残念ながらそうではないらしい。ある調査によればテレワーカーがハラスメントなどから受けるストレスは増加しており、テレワークをきっかけに退職を考えたことがある従業員は3分の1に上る(注1)。

 一方で「社内恋愛」はまだまだ廃れていない様子だ。トラブルが見えにくくなり、個々人がストレスを抱えやすくなる中、社内恋愛で起きるさらなる問題に、企業はどう向き合っているのか。不誠実な交際から処分を受けた例もあり、コロナ禍によって発生したモラルの崩壊に注目が集まる。

テレワークで増えるストレスと社内恋愛、4人に1人は「秘密の関係」

 これまでオフィスでの人間関係は職場にとって厄介な問題だったが、パンデミックによって新たな側面が加わった。その一つが、オフィスなどの物理的な空間と仕事が分離したことによる「文化的規範」の崩れだ。

 HRコンプライアンストレーニングと分析を手掛ける米国企業Emtrainが2020年半ばに発表したレポートによれば、ハラスメント防止などの職場の健康指標に関する従業員の感情は、テレワークへの移行後に悪化した。また、米国でリーダーシップ育成トレーニングなどを提供するVitalSmartsが2021年に実施した労働者調査によると、回答者はオフィスで仕事をしている時よりリモートで仕事をしている時の方が、パフォーマンスの低下や行動の問題、その他の懸念について、”話さない”可能性が2倍になるという結果が出た(注2)。

 パンデミックから始まったワークスタイルのパラダイムシフトに適応する時間はあったにも関わらず、テレワークの悪影響を訴える声は依然として多い。情報筋は以前、リモートの従業員の孤立と孤独の始まりについてHR Diveに語った。ある調査では、労働者の3分の1が、ケアが不十分な中でのテレワーク移行によって退職を考えたことがあると回答した。

 一方で、最近のSociety for Human Resource Management(SHRM:米国人材マネジメント協会)の調査によれば、社内恋愛はCOVID-19時代のテレワークやロックダウンにもかかわらず続いている(注3)。SHRMが550人の米国人労働者を対象に実施した調査によれば、33%の回答者が現在または以前に職場での恋愛を経験している。その中の26%は、パンデミック中に付き合いを始めたか、パンデミック期間を通して恋愛関係を維持している。

 回答者の77%は、社内の相手と恋愛関係にあることを自ら開示していた。ただしほとんどの企業において、雇用主は職場での恋愛関係の開示を要求していない。

 SHRMのプレジデント兼CEOのジョニー・C.テイラー・ジュニア氏は、声明の中で「労働者が職場で恋愛を求めている場合、その関係が破局した場合の好ましくない状況に備えて、雇用主は社内恋愛の施策を立てる必要がある」と述べている。

「関係の開示」に関するポリシー強化が始まった

 SHRMの調査によれば、交際相手を「上司」と回答した割合は19%で「部下」と回答した割合は12%だった。

 社内恋愛が全ての感情的な問題に直接関係しているとは限らないものの、近年のHRチームは「関係の開示に関するポリシー」の強化に乗り出している。ポリシー見直しの主な動機は、嫌がらせやえこひいき、その他の問題の防止だ(注4)。

 それに関連して、有名企業における出来事も注目を集めている。McDonald'sは2017年、当時のCEOであったスティーブ・イースターブルック氏を「会社の方針に違反して従業員と関係を持っていた」として解任した(注5)。それをきっかけにより広範な論争が起こり、同社は後にイースターブルック氏を訴えた。Restaurant Diveの報道によれば、同氏は解任前、別の従業員と「追加の関係」を持っており、内部調査でうそをついていたという。

 最近、ニュースチャンネルのCNNが前社長のジェフ・ザッカー氏の解任を発表した。CNN Businessの報道によれば、調査の中で同氏が自身の監督下にある従業員と「合意した関係」にあることを明かしたという(注6)。

ロマンチックではない「職場配偶者」という関係

 一方、オフィス内での全ての関係が明確な恋愛になるとは限らない。SHRMは調査の中で、回答者の4人に1人以上が「職場における配偶者」とみなすパートナーがいると答えたが、相手に「ロマンチックな感情を持っている」と答えたのはその中のさらに4人に1人にすぎなかった。2017年のCaptivate Office Pulseの調査では従業員の70%に職場配偶者がいるという結果が出た例もあり、職場における配偶者関係は一般的なものである可能性がある(注7)。

 コンプライアンスの専門家は雇用主に対し、ハラスメントを絶対に容認しない方針や「禁止されている関係の種類」に対する明確な制限など、職場の人間関係に関する「注意深い方針」を起草するようアドバイスしている。

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