SaaS型オフィススイートのデファクトスタンダードとも言える「Microsoft 365」と「Google Workspace」。後編では、ユーザーが両ツールに望むことや、両サービスに含まれるツールの活用法について聞いた。
キーマンズネットが実施したアンケート調査「Microsoft 365とGoogle Workspaceの利用状況」(実施期間:2022年3月18日〜4月8日)を基に、両ツールの利用傾向とユーザーが抱く不満、課題を明らかにする当企画。
前編では、さまざまな業務アプリがSaaS(Software as a Service)シフトし、ワークシフトの潮流も高まってか「Microsoft 365」や「Google Workspace」といったSaaS型のオフィススイートの利用率が増加傾向にあることに触れた。後編ではSaaS型オフィススイートの満足度と課題について、アンケート結果を基に考察する。
まずMicrosoft 365/Office 365およびGoogle Workspaceの利用者にサービスの満足度を聞いた結果、「満足」と「まぁ満足」の合計値を見るとMicrosoft 365/Office 365では86.2%(図1)、Google Workspaceでは90.2%となり(図2)、両者とも9割に迫った。
ほぼ「満足」としているものの、回答者の約1割は何らかの不満を抱えている。不満の中身を明らかにするために、Microsoft 365/Office 365およびGoogle Workspaceへ求めることを自由記述形式で回答を募った。以下で、寄せられたコメントの一部を紹介する。なお、これらのコメントは個人の感想であり、全ての環境に当てはまるものではないことをあらかじめご承知いただきたい。
Microsoft 365ユーザーからは、ツールやサービスそのものに対する要望以外に、多機能が故に「利用できるツールが分からない」といった声や、ライセンスプランを明快にしてほしいなどの声が寄せられた。
Google Workspaceユーザーからは、主にMicrosoft製品との互換性に関するコメントが多くを占めた。
Microsoft 365およびOfficeツールとGoogle Workspaceを併用するケースもある中で、両者の互換性を意識したツールおよびサービス設計が求められている様子だ。
オフィススイートには表計算や文書作成などの基本ツールに加えて、最近では簡易的なRPA(Robotic Process Automation)ツールや、ノーコード/ローコード開発ツールなど、オフィスソフトの域を超えたサービスやツールを提供するプランもある。
しかし、前編で取り上げたMicrosoft 365の料金改定に対する改定反対派の意見を見ると、「全ての機能を使いこなせていないため、利用する機能を選択できる柔軟な料金形態にしてほしい」といった声が多数上がった。そこで、ユーザーはMicrosoft 365/Office 365とGoogle Workspaceの機能をどの範囲まで利用しているのかを探った。
まず、勤務先で利用しているオフィススイートとしてMicrosoft 365/Office 365と回答した人に対して、「Word」「Excel」「PowerPoint」「Exchange」「One Drive」「Teams」以外のアプリを使ったことがあるかどうかを聞いたところ、「使ったことがある」としたのは48.8%で、50.5%が「使ったことはない」「使おうとしたがやめた」と回答した(図3)。
「使ったことがある」と回答した人に対して、具体的にどのようなアプリをどう使ったのかを聞いた。主にMicrosoft 365 E3/E5/F3といった大企業向けプランに含まれる「Microsoft Power Apps」のツール活用が目立った。
Google Workspaceについては、「ドキュメント」「スプレッドシート」「Google ドライブ」「カレンダー」以外のアプリの利用有無を尋ねた。その結果「使ったことがある」が77.0%と大半を占め、「使ったことはない」「使おうとしたがやめた」は21.3%にとどまった(図4)。含まれるアプリや機能数が絞り込まれていることもあってか、主要アプリ以外の利用率は高いようだ。
Google Workspaceも同様に「使ったことがある」とした人に対して、利用したアプリやシーンを尋ねたところ、ツールそのものを使うだけでなく、Googleのプログラム言語「Google Apps Script」を使ったカスタマイズ例も寄せられた。
上記のようなツール単独の活用例の他に、「フォームで作成したアンケートへの回答依頼メールをGoogle Apps Scriptを使って自動的に送信するようにし、回答結果をドキュメントに収集しサイトを使って公開した」といった、ツールを組み合わせて独自の運用フローを実現した例も寄せられた。
オフィススイートに対して「これ以上機能は不要だから、料金を下げてほしい」といったコメントが多く寄せられたが、今まで無用だと考えていたツールやサービスにも目を向け、こうした活用例を参考にしてまずは触れてみることで、自業務に適した意外な使い方が発見できるかもしれない。
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