Microsoft 365やOffice 365に含まれるアプリやサービスは毎月のように何らかのアップデートが行われている。本稿では、2022年3月期のアップデート情報と、2022年5月に予定されているMicrosoft Teamsなどの機能追加情報をまとめた。
SaaS型のオフィススイート「Microsoft 365」の利点は、常に最新の機能を利用できる点にある。しかし、アップデート頻度が高く、ユーザーがそれらをキャッチアップするのは一苦労だ。
Microsoft 365の前身であるBPOS(Microsoft Business Productivity Online Suite)時代から導入に関わってきた内田洋行の太田浩史氏が、オンラインセミナーで2022年3月に実装されたMicrosoft 365の最新機能を総括するとともに、2022年4月、5月に実装予定の機能を紹介した。本稿では、2022年3月30日に開催されたWebセミナーの内容を基に、最新のMicrosoft 365アップデート情報と今後実装予定の機能をお伝えする。
本稿は、オンラインセミナー「聞きたい!知りたい!おさえたい!今月のMicrosoft 365アップデート」(主催:内田洋行)での講演内容を基に編集部で再構成した。
まず、Microsoft 365について2022年3月期に展開されたアップデートおよび新機能について見ていく。
「Microsoft Whiteboard」は、「Microsoft Store」から入手可能なWindowsアプリだ。ホワイトボードにペンで書くように、手書きのメモなどを作成して自分のアイデアをまとめて保存したり、それを社内で共有したりすることも可能だ。
このMicrosoft WhiteboardのWindows版アプリがアップデートされ、機能が一新されるとともに見た目も一新された。付箋紙や画像、手書き文字をホワイトボードに手軽に貼り付けられるようになり、マウスによる手書き文字入力の操作感も向上した。これらのアップデートは、Webブラウザ版とモバイルアプリ版、「Microsoft Teams」(以下、Teams)から利用できるアプリで既に実装済みだ。
今後のアップデートで、Microsoft Whiteboardのデータ保存場所が変更される予定だ。現在の保存先は「Microsoft Azure」だが、「Microsoft SharePoint」や「Microsoft OneDrive」に保存されるようになる。
また会議中にTeamsの社外ユーザーともMicrosoft Whiteboardの共有が可能になる。大型ホワイトボードデバイス「Surface Hub」との連携も計画されている。これらは2022年5月のアップデートで実装予定とされている。
スマホなどのモバイルデバイスで利用できる「Outlookモバイル」アプリに会議室の検索機能が追加された。既にデスクトップ版とブラウザ版では利用できる機能だが、Outlookで予定を作成したとき、利用できる会議室の場所が一覧で表示され、空き状況が把握でき、会議の場所として指定できるようになった。
会議室が多数ある場合は、「会議室リスト」を作成して整理すると便利だ。会議室リストは拠点や建物ごとで会議室をグループ化できる。空いている会議室をすぐに検索し、予定を押さえることが可能になる。なお会議室リストは「Microsoft Exchange」の管理者が作成でき、PowerShellを使って設定する必要がある。一度会議室リストを作成しておくと、それぞれのOutlookから参照できるようになる。
受信したメールの内容に合わせた簡単な返信内容をOutlookが提案してくれる機能が追加された。提案内容を挿入することで返信メールを容易に作成できるようになり、メール作成時間の短縮にもつながる。
Yammerには複数の機能が追加された。まず大きな点は、Yammerの「プロフィールページ」のデザインが一新されたことだ。フォローしている人とフォロワーが一覧表示される他、最近の投稿のアクティビティーが一覧表示される。
投稿の中で気になるものを「ブックマーク」しておくことで、プロフィールページの「My Bookmarks」にそれらが一覧表示される。
「質問」形式の投稿が可能になり、そこに閲覧者が回答できるとともに、回答に対して「投票」ができるようになった。投票によって有効な回答が際立つことになり、役立つ投稿を探しやすくなる。また「チェックマーク」をつけることで、それが有効な回答であることを他の閲覧者に告知することもできる。
質問形式の投稿は、コミュニティーの設定を管理者が変更することで可能となる。デフォルトの「ディスカッション」から「質問」へも変更できる。社内でQ&Aフォーラムなどを運用したいときには便利な投稿形式だ。
Yammerが送信する通知メールから直接返信できるようになり、毎回Yammerを起動しなくても返信が可能になった。
他にも「ダークモード」への切り替えが可能になり、背景色を白から黒へと変更できる。最近、さまざまなアプリケーションやサービスにも実装されている機能だが、今回のアップデートでYammerにも追加された。
アンケート作成などで利用する「Microsoft Forms」においては、フォーム当たりの回答数上限が5万件から500万件に大幅拡大した。従来は回答が5万件を超えると、いったんデータをエクスポートしてクリアする操作が必要だったが、それが不要になった。
なお、Yammerには新バージョンと旧バージョンがある。旧バージョンは2020年に登場し、古いYammerを利用しているならば新しいYammerへの変更が可能だ。変更はユーザーが任意で行なう必要がある。今回紹介した新機能は、新バージョンで更新されているものなので注意していただきたい。
次に、2022年4月または5月頃に実装予定とされている追加機能を紹介する。以降で紹介するのは本セミナー開催時点(2022年3月30日)で紹介されたものであることをご承知いただきたい。
2022年4月下旬頃から、Exchangeを利用する全組織で「プラスアドレス」が既定で有効化される。プラスアドレスとは、自分のアドレスに「+」と共に文字列を追加して受信専用のメールアドレスを自由に作成できるもの。
プラスアドレスは元のアドレスと同様に受信できるが、例えばメールマガジン用のアドレスに設定しておけば、振り分けルールを作成してより分かりやすく処理できる。従来は、利用のためにPowerShellと使って有効化する必要があったが、デフォルトで利用できるようになった。なお、「+」を含んだメールアドレスを運用する企業は誤動作の可能性もあるので注意が必要だ。場合によっては、機能を無効化する必要がある。
Teamsのレコーディングファイルの保存場所と期限が変更になり、レコーディングファイルは「Microsoft SharePoint」かOneDriveに保存されるようになる。
レコーディングファイルのサイズは1時間当たり約400MBとされているが、保存され続けるとディスク容量を圧迫するとともに再生される機会も減る。そのため、古くなった録画データを自動的に削除可能になった。管理者が保存期間を設定し、ユーザーへのアナウンスを行なうといいだろう。なお削除したくないレコーディングファイルは有効期限を変更でき、場合によっては無期限保存にもできる。
開催者に加えて「共同開催者」が設定可能となる。本機能は予定よりも実装が遅れ、2022年5月頃の追加とされている。開催者のみが可能だった幾つかの操作について、共同開催者へ委ねることが可能となる。
その他、「Microsoft Teams Connect Shares Channels」の「Public Preview」が公開される予定だ。チームのメンバーを追加するとき、チャンネル単位で社内外のメンバーを招待できるようになり、チームの中でも必要な人だけを招待できる。
社外ユーザーは、招待されたときにテナントを切り替えることなく共有されたチャネルを利用できる。頻繁にやりとりする企業にとっては便利な機能だ。
最後に、今後サポート終了が予定されているツールを紹介する。中でも特に影響が大きいのが、長年Windowsの標準ブラウザとして利用されてきた「Internet Explorer」の終了だろう。
2022年5月23日に「Outlook for Android」はAndroid 7.xでのサポートを終了する。対象のデバイスは、Android 8.x以降にバージョンアップする必要がある。
2022年6月15日をもって、「Internet Explorer 11」のサポートが終了する。以降は「Microsoft Edge」など、新Webブラウザへの移行が必要となる。なお、Internet Explorer 11が必須とされるサイトについては、Microsoft Edgeの「IEモード」で利用する必要がある。
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