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次に処刑されるのは? 「マイクロソフト墓場」の謎:660th Lap

皆さんは「Microsoft墓場」をご存じだろうか。そこには墓石やギロチン台が並び、何とも物々しいWebサイトだという。一体誰が何のために作ったのだろうか?

» 2022年05月13日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 どんなアプリやサービスでも、いつかは提供終了やサポート打ち切りの時を迎えるものだ。特に利用頻度や依存率が高いものほど、大きな痛手となる。

 今までMicrosoftが終了させてきたアプリやサービスを集めた、まさに「墓場」のようなWebサイトが存在するという。そこには墓石やギロチン台が並ぶ、何とも物々しいWebサイトだという。一体誰が何のためにそんなWebサイトを作ったのか?

 今までMicrosoftが終了させてきたアプリやサービスの情報を集約したWebサイトがその名も「Killed by Microsoft」だ。このWebサイトを開くと幾つもの墓石が並び、Microsoftが1996年以降に終了させたアプリやサービスの名前がずらっと表示されている。

 終了したことを「Killed」と表現し、その墓石数は115基にも上る。つまりMicrosoftが1996年以降に終了させたアプリやサービスがそれだけあるということだ。墓石を分類するとアプリが55基、サービスが41基、OSが5基、ハードウェアが14基だ(墓石の数は2022年5月中旬時点のもの)。

 そのWebサイトでは、墓石に刻まれる銘文のようにアプリ名やサービス名とともに提供期間と“享年”が記されている。

 最も古い墓石は「3D Movie Maker」だ。1995年からわずか1年ほどの命だったようだ。「Windows 95」向けに開発された3Dアニメーション作成アプリで、あらかじめ用意された素材をドラッグ&ドロップすることで3Dアニメが作成できるというもの。現在、3D Movie Makerはオープンソース化されている。

 他にも、「お前を消す方法」で有名な「Microsoft Office」の迷機能「Office Assistant」の墓石(1996-2007、享年11)や、「RIA」(リッチインターネットアプリケーション)全盛時代に登場した「Silverlight」の墓石(2005-2021、享年16)も見られる。また、「第3のスマホ」として期待されていた「Windows Phone」の墓石(2010-2019、享年9)もあるなど、眺めているだけで色々な記憶が蘇ってくる。

 ちなみに最も新しいものは墓石ではなく「ギロチン台」の形をしている。間もなく「処刑される」という意味なのだろう。ギロチン台に載せられているのは「Skype for Business」で、2025年10月に「処刑」予定だという。

 なお、Windows OSのように過去のバージョンは終了しているものの、今もなお後継バージョンが提供され続けているものについてはまだ墓石にはなっていないようだ。

 この「Killed by Microsoft」を作成したのはファビアーノ・リカルディ(Fabiano Riccardi)氏だ。リカルディ氏はこのWebサイトを「the Microsoft graveyard(Microsoftの墓地)」と呼び、Microsoftが手掛けてきたアプリやサービスの「歴史的な事実情報の情報源」となることを目的とするという。

 決してMicrosoftを嘲笑するつもりではないということだ。リカルディ氏によれば、コディ・オグデン(Cody Ogden)氏が手掛ける「Killed by Google」を参考にしたものだという。Killed by Googleは言うまでもなく、Googleが終了させてきたアプリやサービスの「墓場」だ。

 これまでMicrosoftが提供してきたアプリが、ITの歴史に埋もれていくのはもったいない。この「墓場」があることによって、すでに終了したアプリやサービスが記録にも記憶にも残ることだろう。Microsoftが存在し続ける限りは、この墓場も運営されてほしいものだ。


上司X

上司X: 「Microsoftの墓場」があるという話だよ。いままで終了したアプリやサービスの墓石が並んでいるそうだ。


ブラックピット

ブラックピット: なるほど。まさに「墓場」であり、ある意味でMicrosoftの歴史そのものでもありますねえ。


上司X

上司X: それにしても壮観だねえ。これだけ終了したものがたくさん並ぶと。


ブラックピット

ブラックピット: 墓石をつらつら眺めていると、意外に覚えているものですね。ほら「iLoo」とか。


上司X

上司X: 何それ? 俺は知らないぞ。


ブラックピット

ブラックピット: あれそうですか? 墓石には「2003-2003」とあり、寿命はわずか13日だったそうですよ。


上司X

上司X: だからそれがどんなものだったのか、と聞いているんだが。


ブラックピット

ブラックピット: えーとですね。Wi-Fiとプラズマディスプレイを装備したポータブルトイレだそうです。ほら、工事現場やイベント会場に置いてある、小型コンテナ型の簡易トイレですよ。発表したのはいいですけど、不評の声が多くてあっという間にプロジェクトがポシャったそうですよ。


上司X

上司X: むむむ。まさかそんなものまで発表していたとはMicrosoftもやるものだな。それにしてもこのiLooだって、墓石が残っていなければ20年もたった現在、俺に知られることもなかったかもしれない。ITの歴史の一部としてこれからも情報収集に励んでいただきたいものだよ。

川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


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