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» 2022年07月04日 07時00分 公開

熊谷組がSAP R/3をリプレース 第三者保守サービス活用で建築DXを目指す

日本の老舗建設企業である熊谷組は、建築DXの一環でSAP R/3をリプレースする。基幹システムの移行には多大な労力と時間が必要になるが、同社が選択したのは“第三者保守サービス”の活用だった。

[土肥正弘,キーマンズネット]

 老舗建設企業である熊谷組は、これまで使い続けてきたSAPのERPパッケージ「SAP R/3」を建設業界特化型のERPにリプレースするなど、建築DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けた取り組みを進めているところだ。

 基幹システムの移行には多大な労力と時間が必要になる。システムの保守費用を抑えつつ、移行計画の時間を確保するため、同社が選択したのは日本リミニストリート(以下、リミニストリート)による“第三者保守サービス”だった。

 第三者保守サービスを活用してシステム移行への余力を生み出すことで、同社は建築DXに向けた周到な計画を用意できた。同社の経営戦略室DX推進部 部長の鴫原 巧氏がプロジェクトの全容を解説した。

本稿は、オンラインセミナー「Works Way 2022」(主催:ワークスアプリケーションズ)の講演内容を基に、編集部で再構成した。

ベンダーサポート費用が運用コストを圧迫

 熊谷組がERPパッケージを導入したのは1999年のことだった。経営革新中期計画の中心にERPを据え、SAP R/3を導入してコスト削減を図った。

 会計モジュールを主体に同パッケージを利用し、カンパニー部門や土木・建設部門の業務システムをETLツールで連携させ、全社的な基幹システムとしていた。しかし、徐々にベンダーの保守・運用コストが予算を圧迫するようになった。

 それが契機となってコスト削減を図ろうと、同社は2002年にユーザー数を700から500に削減し、2012年にはOSをUNIXからWindowsに移行した。しかし、サポートコストは導入当初の15%(全体運用コスト比)から17%へ、2012年には22%に増加した。

 SAP R/3のサポート終了が2025年に迫る(2020年に2027年までサポート延長を発表)こともあり、基幹システムを新たなシステムにマイグレーションすることにした。しかし、移行期間が必要な上、移行が完了するまでは現行システムの運用を続けなければならない。そこで同社は、周到な移行計画を用意することになった。

第三者保守で既存ERPを延命して移行期間を確保

 運用コスト圧迫の解決策として、「ベンダーのサポートに比べてサポート費用が半額になる」とうたう第三者保守サービスが選択肢に上がった。第三者保守サービスとは、いわばベンダー保守を第三者が肩代わりするサポートサービスだ。リミニストリートは最長15年にわたってサービスを提供する。

 リミニストリートとのやりとりを通して、以下の第三者保守サービスのメリットを確認できた。

  • 大幅なサポートコスト削減
  • 現行バージョンのアップグレードなしに長期サポート可能なこと
  • 標準機能以外のアドオンプログラムもサポート対象となること
  • 税制など法改正に関する更新情報の提供
  • システム継続性を担保できること
  • 専任サポートエンジニアが任命されること

 また、調査会社にリスク調査を依頼して洗い出されたリスクは以下になる。

  • サービス提供会社の撤退リスク
  • 将来的なサポート品質に関するリスク
  • サポート契約切り替え後にSAPの新バージョンにアップグレードする場合にSAP標準保守に戻さなくてはならないリスク

 同社は、得られるメリットに比較してリスクは少ないと判断し、第三者保守サービスの導入に踏み切り、2015年1月、リミニストリートによる単独保守に移行した。契約期間は3年で現在まで3回更新している。

建築DXの全容とリプレースのロードマップ

 当初は2021年に新基幹システムを稼働させる計画だったが、製品選定が遅れ、稼働時期は2024年に再設定された。スケジュールが遅延しても、第三者保守契約を延長することで製品選定とシステム開発に十分な時間をかけられた。

 以降では、建築DX実現に向けた同社の入念な製品選定と、リプレースのロードマップを明らかにする。

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