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» 2022年05月23日 15時20分 公開

基礎から学ぶ「RISE with SAP」 BTP活用事例3選とクラウドシフトを徹底解説SAPの崖問題を飛び越えろ

2021年にSAPが発表した「RISE with SAP」は、クラウドシフトを加速させる。ここで改めてERPの現状と未来、トレンドを分析し、RISE with SAPや関連サービスBTPの活用事例を紹介する。

[土肥正弘,キーマンズネット]

 ERPのクラウドシフトが急速に進む中、2021年にSAPが発表した「RISE with SAP」はこのトレンドをさらに加速させる。本稿ではERPの歴史や現状、未来、トレンドを確認しつつ、RISE with SAPの基本やクラウドシフトを後押しするサービス「SAP Business Technology Platform」(以下、BTP)と活用事例を紹介していく。

改めて、ERPってなに?

 ERPの基本と現在のクラウドシフトのトレンドについて解説する。

ERPとは

 ERP(統合基幹業務システム)は、個別業務に最適化された各種業務システムが乱立することで発生するデータの重複や矛盾、入力作業の重複、企業活動全体の状況把握の困難を克服するため、「部分最適から全体最適」を目指すシステムとデータの統合に大きな役割を果たしてきた。

 統合による効果は個別業務の効率化にとどまらず、適時の経営指標把握や分析、経営リソースの無駄のない有効活用、経営管理の合理化・効率化、企業全体としての生産性向上にも及ぶ。さらに現在では、単なる業務効率化ツールではなくビジネス変化を的確に捉え、即応するためのデータ分析・活用のベースとなるシステムとしての様相を呈する。

ERPの変遷

 そのシステム形態は、古くはメインフレーム中心のスクラッチ開発に端を発し、70年代にはオープンシステム向けのERPパッケージが誕生、SAPがリードする形でパッケージ導入が進んだ。ERPパッケージには各種業務のベストプラクティスが機能として追加され、製品として洗練されていったが、企業個別の要件を全て反映したわけではなく、特に日本では独特の商習慣に合わない部分もあってアドオン開発で機能を補うのが一般的だった。

図1 ERPによる標準化について(出典:SAP提供資料)

 その後、国産の業務特化型のERPパッケージが登場したり、汎用的なパッケージが特定業種や業務向けに提供されたりすることで、企業の個別業務に即応可能なものに進化した。なお、アドオン開発の種類や量は減少傾向だが、いまだにその必要性はなくなっていない。

 現在は従来のようにパッケージをオンプレミスシステムに導入・構築するケース以外に、プライベートクラウド(IaaS、PaaS)で導入・構築するケース、あるいはパブリッククラウド(SaaS)としてパッケージ機能を利用するケースも増えた。

 作業場所を問わずにアクセスでき、初期費用が軽減し、運用管理の負担も軽減できるとあって、ERPのクラウドシフトは世界的なトレンドだ。調査会社ITRの「ERP市場2022」によると、2020年度のERPパッケージ市場(国内)は前年度比2.4%減のマイナス成長だが、SaaS市場は同27.2%増と高い伸びを示しており、今後もその高い成長率が続くとみられる。

 SaaSは基本的に、アドオンのないあるがままのサービスを利用が基本だ。クラウドERPでもそのように利用される一方で、従来と同じように機能のアドオンを望む企業も多い。

クラウドシフトでERPの導入や運用の何が変わる?

 ERPパッケージの普及に大きく貢献したのは「SAP ERP」や、その後継の「SAP R/3」(以下、R/3)だ。R/3ユーザーは今も多いが、後継製品「SAP S/4HANA」のリリース後、R/3のサポート終了期限は2025年と発表された。これは後に修正され2027年までとなったが、R/3ユーザーはこの数年で新たな対応を迫られることになった。

 サポート切れを気にせず使い続ける選択はリスクが高い。他のERPパッケージに乗り換えるには新規構築の負担が大きい。S/4HANAへの移行がスムーズにできるかどうかにも不安が残る。また、他のERPパッケージ導入企業もS4/HANAへの移行負担が軽ければ、クラウドシフトを進める選択肢となろう。

 このような状況下で2021年にSAPが発表したのが「RISE with SAP」だ。これは「S/4HANA Cloud」などの同社製品をベースにERPをクラウドシフトするソリューションだ。現在のERP形態についてSAPの資料を基に見ておこう。

図2 SAPのERP製品の提供形態(出典:SAP提供資料)

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