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国内ERP市場、2024年までの見通しは? ITR市場予測を読む

ITRは国内のERP市場について、提供形態別とパッケージ製品の運用形態別で、2024年度までの売り上げを予測した。2019年度の売上金額は、対前年度比12.4%増の1128億円。2019〜2024年度のCAGRを9.5%と見込み、2024年度の市場規模は1775億円と予測する。

» 2021年04月13日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 アイ・ティ・アールは2021年4月8日、「ERP市場2021」を発表した。国内のERP市場について、提供形態別と、パッケージ製品の運用形態別で、2019年度の売り上げ実績を調査し、2024年度までの売り上げを予測した。

 ERP市場の2019年度の売上金額は、対前年度比12.4%増の1128億円。既存ユーザーのリニューアルやシステム拡張が進み堅調に推移した。2020年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で営業活動が低下するなどして、近年ではやや低い同5.8%増と予想する。今後は、老朽化したERPシステムに対する再構築需要が見込まれることから、2019〜2024年度のCAGR(年平均成長率)を9.5%と見込み、2024年度の市場規模は1775億円と予測する。

全体的には伸びが続く中で「共食い」する分野と急伸する分野に二分

 提供形態別では、2019年度から2020年度にかけては、パッケージはほぼ横ばいで推移したのに対して、SaaSは急拡大した。

 主要ベンダーはSaaSの利用者拡大を進めており、パッケージを導入している既存ユーザーもSaaSへの移行を進めている。そのため2019〜2024年度は、パッケージのCAGRが−0.1%であるのに対してSaaSのCAGRは24.0%と高い伸びを予測する。2024年度の市場規模は、パッケージが785億円、SaaSが990億円の見込みだ。

 一方、パッケージをユーザー企業の運用形態別で見ると、2018〜2020年度は、オンプレミスが減少したのに対して、IaaSは20%前後の高い伸びを維持した。ITRでは、この傾向は2021年度以降も続くと見ており、2024年度の市場規模はオンプレミスが140億円、IaaSが645億円と見ている。

 ITRのプリンシパル・アナリストを務める浅利浩一氏は、ERP市場を「2020年度は2019年度に比べて低い伸びではあるものの、全体としては成長を堅持すると見ている」と述べた上で、ベンダーによってその実情が異なる点を強調する。

 「全体の3割を超えるベンダーが2019年度から売り上げを減少させる一方、全体のほぼ半数のベンダーはコロナ禍にあっても高い成長を遂げ、特にSaaSはほぼ全てのベンダーが成長を維持している。2020年度のERP市場は、近年にない大きな変革のトレンドがコロナ禍への対応を通じて浮き彫りになった。当社では、このインパクトは引き続き2021年度にも波及していくと予測している」(同氏)

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