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「人生詰んだ……」キャリアに絶望する若手世代が抱く不安の正体とは?

「大学最終学期でも内定ゼロ」「心の健康を損なっても今の職場に居続けるべきか」将来やキャリアに関する苦悩が尽きない若手世代。彼らはなぜ現状を悲観し、絶望するのか。

» 2022年06月16日 07時00分 公開
[Caroline ColvinHR Dive]
HR Dive

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックはわれわれの仕事と労働に大きな影響を与えた。Z世代を含む働く人々は、自分が仕事に何を求めているのかを考えなければならない。

自分のキャリアに希望を見いだせない若手世代の自問自答

 特にZ世代は追い詰められ、自身のキャリアに絶望感を抱いている。人材会社LHHが実施した調査によれば、回答者のうちZ世代の33%が「自身のキャリアはどうすることもできない」と感じていることが分かった。また、Z世代の半数以上が自分の仕事に対して「不安を感じている」と回答した(注1)。

 「今の自分にふさわしい昇給を得るにはどうしたらいいのか」「不採用になったらどうすればいいのか」「この不幸をもたらす職場を辞めるべきか」「メンタルヘルスが損なわれても給与に見合うだけの価値があるのか」「燃え尽き症候群とどう闘うべきか」「今の会社で別の仕事を探すべきか、それとも新しい分野に転向すべきか」。Z世代からミレニアル世代(1996年前後に生まれた世代)に当たる著者は、このように友人が自身のキャリアに対して大きな不安と問題を抱えているのを見てきた。

 一時的に仕事に満足している人はいても仕事にやりがいを感じている人はほとんどおらず、誰もが多くのストレス要因と格闘しているのが現状だ。著者の友人の一人は青少年団体および旅行代理店に勤務しているが、世界情勢が自身のキャリアに影響を与え、不安を感じているという。また、キャリア的に“遅咲き”と感じている友人は、25歳にして初めて福利厚生完備の職場で仕事を始めたばかりだが、深い孤独を感じているという。

 その友人は今でも大学院への進学を夢見ており、会社のタイムカードを見て失望する彼女に著者は深く同情した。しかし、将来が見えないからこそ彼女は今の職場にとどまらざるを得ない。将来への不安は、労働者のリテンションにつながる。22歳の知人は卒業を控え、自分の価値観に合った教育関連の仕事を探し、夢の実現と経済的安定の間にある大きな溝で格闘している最中だ。

考えるべきは「若手世代の現実と理想のギャップをどう埋めるか」

 雇用主や人事担当者はちょっとした工夫で彼らの情熱と現実のギャップを埋めることができるはずだ。考えてみてほしい。LHHの調査では、回答者のうちZ世代の34%が「自分のスキルは職場で役に立たない」と回答した。

 ラサールネットワークは、新卒社員が望むことと、先の見通しが将来の仕事にどう影響を与えるかをまとめた「What The Class of 2022 Wants」(注2)を発表した。このレポートによれば、38%が「3つ以上のインターンシップを経験した」と回答したという。そして調査対象である新卒者の一番の懸念は「経験不足」であることが明らかになった。また、48%の卒業生が技術的スキルに不足を感じ、39%が就職市場に戸惑い、33%が面接スキル向上の必要性を感じているという。

 ラサールは、大学生がいつ、どのように就職活動をしているのかについても調査した。そのレポートでは、多くの学生が大学の最終学期をつらいと感じている現実が浮き彫りになった。回答者の約半数が1〜3つ、またはそれ以上の内定を獲得したと回答した一方で、53%の新卒者は「一つも内定がない」と答えた。

 4年前は著者もその一人だった。裕福な友人たちは物価の高い都市でインターンシップに参加し、人気ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティー(Sex and the City)』のような生活を夢見て、どんな気持ちになったのかを覚えている。ウォルマートで買い物をし、スターバックスに出勤する自分の姿と重ね合わせ、シュールな気分になったものだ。これは後で分かったことだが、若い世代の多くが著者と同じようなストレスを感じており、低賃金で雇われ過小評価されている。

 Z世代、または隣接する世代であることは、私たちの生活全体が西部劇のように感じられるということだ。そして彼らは深い苦しみを抱えている。新卒という帽子を投げた瞬間に社会人としての全てを理解する必要はないことを忘れないでほしい。LinkedInの発表によれば、Z世代、特にCOVID-19のパンデミック時に社会人生活をスタートさせた人々は、メンターや人のつながりを求めている。

 LinkedInのスポークスパーソン氏は「メンティー(mentees)とメンター(mentors)の検索数が倍増した」と語る(注3)。そして、Z世代の求職者が最も優先するのは「新しいスキルを学べ、実践できる機会がある職場」だった(注4)。

 データは、Z世代にはさらなるトレーニングが必要であることを示している。それは、私たちが無能だからではなく、私たちにふさわしい未来を追い求める自信を持たせるために必要なことなのだ。

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