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「Windows 11」推しのMicrosoftが次に企んでいること:665th Lap

家電量販店には「Windows 11搭載」をうたうPCが多く並ぶようになった。Microsoftとしてはできるだけ早くOSをアップグレードさせたいのだろう。そうした中で、Microsoftが秘密裏に進めていることがあるという。

» 2022年06月17日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 2021年10月に「Windows 11」がリリースされて半年以上が経過した。現時点では、普及しているのかしていないのかがいまひとつ分からない状況だが、MicrosoftがWindows 11関連で、秘密裏に進めていることがあるという。それは、ユーザーのみならずPC市場にも今後影響する可能性があるというが、一体何を企んでいるというのか?

 IT系情報サイト「Tom's Hardware」は2022年6月8日の記事で、「MicrosoftはWindows 11のスペック要件をさらに厳しくするだろう」と報告した。

 Microsoftが公表している現行のWindows 11のシステム要件の中でも特に大きなハードルになるのがセキュリティチップ「Trusted Platform Module 2.0(TPM 2.0)」だ。Microsoftはそれに加えて、PCの内蔵ストレージをHDDではなくSSDを採用するようメーカーに要求しているという。そしてHDDからSDDへの切り替え期限を2023年としているとのことだ。それが本当ならば、その間に全てのWindows PCのメインストレージをSSDに切り替えなければならないことになる。Tom's Hardwareは、データストレージ業界を分析するTrendfocusのレポートからこのことを読み取ったという。

 現在のWindows 11のシステム要件で、ストレージについては「64GB以上の記憶装置」としか書かれていない。今後はここに「SSD」が条件として加わるかもしれない。だが、もしかしたらMicrosoftはただOEMメーカーにSSDの採用を強制するだけで、システム要件を変更する意向はないのかもしれない。

 現時点で「既に多くのPCのストレージはSSDになっているのでは?」と思う人もいるだろう。確かに、さまざまな統計データから、2019年頃からPCの内蔵ストレージのシェアはHDDよりもSSDが上回っていることが明らかになっている。「MicrosoftがSSDを強制したとしてもさほど大きな問題にはならないのでは?」とコメントするメディアもある。

 問題は低価格帯のPCだ。価格差は小さくなったとはいえ、容量当たりの価格はまだHDDよりもSSDの方が高い。Tom's Hardwareの記事によると、ハイエンドのSSD(1TB)で1GB当たりの単価は約0.14ドル、超廉価版のSSD(同1TB)では1GB当たり約0.08ドルなのに対して、標準的な1TBのHDDでは1GB当たり0.05ドルだという。そしてHDDは低価格帯のPCに今も採用されている。

 つまり、MicrosoftがSSDを強要することによって、HDDをメインストレージに採用した廉価版PCが市場から消滅する可能性があるということだ。発展途上国などで低価格帯のPCを利用するユーザーにとっては大きな痛手となりそうだ。逆に言えば、HDD搭載の低スペックPCが淘汰(とうた)されることで、Windows PC全体の性能の底上げが実現するかもしれない。

 ただこれに伴って、SSDの価格の変動が起こる可能性が指摘されている。需要上昇に伴って価格が下がる可能性があるとのことだ。一方HDDは、まだブート用途以外の需要もあり、Windows 11のメインドライブでなくなったとしても、市場から消えることはないだろう。

 だが、現時点ではWindows 11を利用するに当たって「メインストレージにSSDの搭載」が必須になる可能性は高そうだ。果たしてどうなることか。


上司X

上司X: Microsoftが、Windows 11を使うにはSSDが必須という条件を出しそう、という話だよ。


ブラックピット

ブラックピット: 2023年から切り替えですか。再来年にはWindows 11搭載PCは全部SSDになるんですねえ。


上司X

上司X: あれ、あんまり響いてない?


ブラックピット

ブラックピット: いえね、やっぱり今どきメインストレージはSSDじゃないかなーと。


上司X

上司X: 確かに大手PCメーカーの製品を見るだけでもメインストレージはほぼSSDだよね。


ブラックピット

ブラックピット: デスクトップPCだと、ファイルストレージとしてHDDが追加されていることもありますけど、やっぱりメインストレージはSSDのことが多いかと。


上司X

上司X: だから今回のMicrosoftのSSD強制もそこまで騒ぐことはない、という感じかな?


ブラックピット

ブラックピット: いや騒ぎますけどね。システム要件が今さら変わるのはどうなんでしょうね。それともシステム要件を変えないで、しれっとOEMメーカーに通達していつの間にかSSD搭載PCだらけにするとか? そして、Windows PCがスペックアップして廉価なPCが市場からなくなったら、ユーザーはどうすればいいんでしょうね。


上司X

上司X: まあまあ。冷静だったはずなのに徐々にエスカレートするのはキミの良くないところだよ。まだ確定ではないことだし、SSDの搭載が強制されても低価格化が進めば、そのメリットを享受できる人も増えるかもってことで。しばらくは様子をうかがおうじゃないか。

川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


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