IDC Japanは「国内ネットワーク機器市場」の調査結果を発表した。2021年はサプライチェーン問題など、多くの困難がのしかかった年であった。企業ネットワークの適応と変革はこれ以上の後れを取れない中、2022年のネットワーク業界はどのようになるのか。
IDC Japan(以下、IDC)は、イーサネットスイッチやルーター、企業向け無線LAN機器からなる国内ネットワーク機器市場について、2021年のベンダーシェアを発表した。
2021年の国内ネットワーク機器市場は「GIGAスクール向けネットワーク構築案件の終息」や「5Gサービス向けモバイルバックホール構築の一巡」「半導体の供給不足を中心とするサプライチェーンの問題」など多くの問題がのしかかった。こうした困難にもかかわらず、企業向けと通信事業者向けを合わせた国内ネットワーク機器市場全体では前年から2.1%の成長となった。
ベンダー別に見ると、国内ネットワーク機器市場首位のシスコシステムズは、製品確保に苦労しながらも無線LANを中心にネットワーク機器全体で前年から1.7%売上を伸ばし、48.1%と半数近いシェアを維持した。アライドテレシスも2021年に売上を伸ばした上位ベンダーの一つで、無線LAN機器を中心に売上を伸ばし、全体で2.6%増であった。
アリスタネットワークスは、メガクラウド事業者を中心とした事業者の国内データセンターの設備投資需要を獲得し、ネットワーク機器市場全体の順位を2020年の8位から4位へ上げた。
IDCによると、半導体の供給不足を中心とするサプライチェーンの問題は今なお解決の見込みが立っておらず、ベンダーにとっても導入する企業にとっても大きな問題のままである。一方で、企業とベンダーの関心は製品調達に向いており、企業ネットワークの在り方に関する議論が滞っているという。
IDCの草野賢一氏(グループディレクター)は、「Future Enterprise(未来の企業)に向けて企業の取り組みが進む中で、企業ネットワークの適応と変革はこれ以上の後れを取るわけにはいかない。2022年は変革に向けてベンダーと企業によるネットワークの在り方に関する検討を再度加速すべきである。製品が十分に供給されない状況を、議論と新たな技術を導入するための時間的猶予が得られたと前向きに捉え、ビジネス変革に適したネットワークアーキテクチャは何か十分に検討することを推奨する」と述べる。
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