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コロナ禍後、ハイブリッドワークを生かして従業員の絆を強める方法

パンデミックの間に従業員が体験した変化や不満、悲劇を考えると、雇用主は従業員に対する「あること」について真剣に考える必要があると専門家は言う。ハイブリッドワークを逆手に取り、従業員同士のつながりをより強めるため重要になる考えを解説する。

» 2022年07月15日 07時00分 公開
[Katie ClareyHR Dive]
HR Dive

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のまん延によって、雇用主は従業員の安全性や勤務形態などを見直す必要に迫られた。業務が安定してきた現在、改めて「従業員体験」を再評価する必要性が出てきたと人事領域の専門家は言う。

 パンデミック後のハイブリッドワークを逆手に取って、従業員同士のつながりをより一層強めるための方法を解説する。

テレワークのネガティブを打ち消す方法は?

 Willis Towers Watson(WTW)の2021年7月の調査によると、世界保健機関(WHO)がパンデミックを宣言してから2年経過した時点で、92%の雇用主が「従業員体験が優先事項である」と認識していた。この数字はパンデミック前の52%から大きく上昇した(注)。

 WTWによると、より良い従業員体験はエンゲージメントや幸福、生産性、パフォーマンスを促進し、ビジネスの成果と結び付くため、優先順位が高くなる。パンデミックによって56%の雇用主がテレワークやハイブリッドワークを導入し、44%が人員や勤務時間を削減し、39%が給与や福利厚生の削減を余儀なくされた。しかし、良い従業員体験は、こういった変化による動揺を帳消しすることにもつながるという。

 従業員体験を構成するものとは何だろうか。HR Diveの取材に応じたWTWの従業員体験におけるグローバル責任者であるスザンヌ・マクアンドリュー氏は、「雇用の基本」に加え「従業員への感謝」を挙げている。

 マクアンドリュー氏は「パンデミックの間に労働者が経験した変化や不満、仕事からプライベートに至るまでの悲劇を考えると、雇用主は従業員に感謝の気持ちを伝えることについて真剣に考えるべきだ。給与以外の方法で従業員を認識し、感謝し、現状を理解する必要がある」とインタビューで語った。

 組織設計コンサルタントのベッツィ・カウフマン氏は「パンデミックの長期化は、雇用主が感謝を伝えることを難しくしている。多くの雇用主は、労働者をオフラインの業務に戻し、またもや大きな変化を導入するかどうかのバランスが問われている」と述べる。

 「企業は従業員をオフィスにどのように戻すかを考え、雇用主が従業員を気に掛けていることをどのように伝えるかを考えなければならない」とカウフマン氏は言う。「従業員はテレワークである程度バランスのとれた生活を送る方法を見いだしている。しかし、彼らに感謝の意を示すには、2年前と同じようにコラボレーションができるような環境をゆっくりと整えなければならない」(カウフマン氏)

2022年、従業員への感謝はどうあるべきか

 雇用主がオフィスへの復帰を進めるか、テレワークを維持するか、あるいは中間のハイブリッドワークを推進するかにせよ、感謝を示すことは従業員体験の重要なポイントであると、人事領域の専門家は繰り返し強調する。

 マクアンドリュー氏は「企業は感謝を伝えるためのプログラムや人材、人脈を探している。人事部は非金銭面も含む動機付けで提供されるもののニーズの変化を理解する必要がある」とも述べている。

 Workhumanは従業員体験と感謝の領域を専門とするベンダーだ。同社のグローバルヒューマンエクスペリエンス担当バイスプレジデントであるサラ・ハミルトン氏は、「Workhumanは従業員体験と感謝に関する製品を扱うため、パンデミック初期の従業員体験をうまく管理できた」と述べている。しかし同社の顧客は、混乱の中で従業員とどのように接すればよいかを判断するのが遅れていたと言う。

 ハミルトン氏は「感謝を伝える最良の方法は従業員表彰を強化することだ」と述べる。「これは誰もが考える大きなテーマになっている」と同氏は続ける。

 カウフマン氏は、パンデミック時の従業員の表彰方法についてこれまでとは異なるやり方が見られたと言う。「オフィスでのカップケーキやドーナツなどはもう心に響かない。大切なのは価値観だ」と述べる。

 カウフマン氏によると、従業員は自分の存在をアピールしたいのだという。そして、従業員間のコミュニケーションを密にすることでアピールを実現する余地が生まれる。カウフマン氏は、バーチャルな評価とエンゲージメントを向上することで、少しずつその効果を実感している。

 ハミルトン氏も同様の見解を示しており、従業員への感謝戦略を計画する際は、雇用主は物質的要素を抜きに考えることを奨励している。表彰は物理的な贈り物である必要はない。実際、感謝の印が小さかったり、頻繁でなかったりしても、従業員の私生活に踏み込むことができる。これはパンデミックによって可能になったことだ。

 「私たちはテレワークを通して従業員の私生活をより深く知れるようになった。ペットや家族、パートナー、リビングルームなどについてだ。とてもユニークな機会だ」とハミルトン氏は言う。「パンデミックの恩恵の一つは、私たちの距離を縮め、仕事以上のものがあることを知れたことだ」と続ける。

 雇用主は仕事と個人の出来事を同様に認識する機会を持てる。WorkHumanは、新しい住まいへの引っ越しや赤ちゃんの誕生など、チームメンバーの個人的な功績に注目し、人生のイベントを祝しているという。

 カウフマン氏とハミルトン氏は、「従業員への感謝を仕事と個人を結び付ける形で実現すれば、雇用主は従業員同士がつながりを持てるように手助けできる」と強調する。

 雇用主は、従業員体験と感謝という新たな世界を歩むにあたり、どのようなアプローチであれ、一貫性を持って適用することが求められる。より個人的で、より頻繁で、形式的でないアプローチは望ましい結果を生むかもしれない。しかし、規則的なプログラムよりも、浸透させ維持することは難しくなるとカウフマン氏は指摘する。

 「感謝が得意なリーダーとそうでないリーダーが出てくるかもしれない。感謝の気持ちを伝え続けることは重要だが、どのようにすれば全員が企業、リーダー、そしてお互いがつながっていることを実感できるだろうか?」(カウフマン氏)

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