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最後の切り札か? スマホ戦争で負けたMicrosoftが秘密裏に進めていること:690th Lap

PCのOSやクラウド分野で大きな影響力を持つ一方で、現在のメインストリームであるモバイル市場でいまひとつ影響力を発揮できなかったMicrosoft。うわさによれば、GoogleやAppleに対抗する“切り札”があるという。

» 2022年12月16日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 モバイル分野で見ると、MicrosoftはGoogleやAppleに大きく差をつけられた。GoogleやAppleはスマートフォンやOSでは確固たる地位を築いたが、Microsoftの「Windows Phone」は幾つかのバージョンが開発されたものの、結局、ユーザーの支持を得られなかった。

 2019年12月10日に「Windows 10 Mobile」のサポートが終了するとともに、Microsoftは新たなWindows Phoneを開発することなく、モバイル市場から撤退することとなった。しかし、これで終わりではないようだ。

 いったんは負けを認めたMicrosoftが再びモバイル市場で一旗揚げようとしていると、IT系ニュースメディアのThe Informationが報じた。同メディアが2022年12月6日に掲載した記事によると、「MicrosoftはスーパーアプリによってAppleとGoogleを倒そうとしている」という。

 他のメディアもそれに反応し、「Microsoftがスーパーアプリを開発中」といううわさが一気に広まった。

 The Informationの記事によれば、Microsoftが考えるスーパーアプリとは、中国で広く普及しているTencentの「WeChat」を模したものだという。WeChatのベースはインスタントメッセージングアプリだが、リリース後にどんどん機能が追加され、SNSやショッピング、ニュース配信、ゲームに加えて決済機能まで備えている。中国のユーザーに欠かせないアプリと言われるほどの存在感を示すものとなった。

 MicrosoftはWeChatのように現在開発中のスーパーアプリに多数の機能を搭載し、同社の検索エンジン「Bing」を強化して広告事業にも活用することで多くの新規ユーザーの獲得を狙うという。

 Microsoftのサティア・ナデラCEOはBingとMicrosoftのモバイル製品の連携を強化するよう社内に指示を出しているそうで、最終的にスーパーアプリの開発につなげようと画策しているという。スーパーアプリは「Android」と「iOS」向けに提供される予定で、それを足掛かりにBing検索の存在感を高めるのが狙いのようだ。

 iPhoneの標準ブラウザ「Safari」のデフォルト検索エンジンにGoogleが設定されているのは、Googleがライバル会社であるAppleに毎年巨額の費用を払っているからだといのは有名な話だ。入札制で最高額を提示するGoogleが採用されているというが、あまりにGoogleが巨大化したため、独占禁止法に違反するとして米国当局からの注意を受けたという話もある。

 実は、MicrosoftもiOSのデフォルト検索エンジンにBingが採用されるように毎年入札を続けているようだが、その野望はいまだ叶わずだ。いずれは独占禁止法を考慮してAppleがiPhoneのデフォルト検索エンジンを変更することがあれば「ぜひBingを」という思いのようだ。とはいえ、Bingのシェアは低いのが現状だ。そのためにもスーパーアプリの開発によって存在感を示したいと考えているようだ。

 なお、これらはあくまでThe Informationの記事で語られたことで、Microsoftが正式にスーパーアプリについて発表したわけではない。だが、モバイル市場でMicrosoftが輝く姿を見たいと思う人もいるだろう。その時が訪れることを楽しみにしたいものだ。


上司X

上司X: Microsoftが「スーパーアプリ」を開発してモバイル市場での覇権を握ろうしている、という話だよ。


ブラックピット

ブラックピット: スーパーアプリって呼び名がなんかその、うさんくさいですけどね。


上司X

上司X: でも実際のところ、「Alipay」やWeChatは中国圏でもはや生活に欠かせないスーパーアプリになっていると耳にするよ。


ブラックピット

ブラックピット: 日本だと「LINE」とかですかね。チャットアプリだと思っていたら、いつの間にか買い物やら決済までできるようになってますよね。


上司X

上司X: なんでも、スマホユーザーが1日に使うアプリは8種類程度なんだそうだ。よく使うアプリを1本にまとめてしまったのがスーパーアプリという存在なわけで、使えば便利なのは間違いない。


ブラックピット

ブラックピット: そういう意味でもMicrosoftがスーパーアプリを開発するのはあながち的外れではないと……。


上司X

上司X: そうだな。実はBingもここ最近じりじりとシェアを伸ばしているんだよ。Googleのシェア8割超えにはもちろん及ばないけど、2022年11月にはPC版で10%弱のシェアを獲得したというデータもある。ま、モバイル版は0.5%だけどね。


ブラックピット

ブラックピット: それってほとんど使われてないってことじゃないですか! まあ、僕もスマホでBingなんて使ったことないですもんねえ。でも、Microsoftにはなんとかモバイル市場でもう一花咲かせてほしいところですけどね。Microsoft Phoneの失敗を糧にしてほしいものです。


上司X

上司X: Windows Phoneが成功していた世界線はどういうことになっていたのか……という妄想はさておいてだ、スーパーアプリでMicrosoftが覇権を握る世界線に期待してみるのもまた一興だ。どうせならもう世界規模でスマホユーザーが使っちゃうようなスーパーなスーパーアプリを開発してほしいものだよ。

川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


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