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「テレワークでそのルール意味ある?」2023年、従業員規則の改定ポイント

多くの企業は、テレワークによる働き方の変化に合った従業員規則を定められていないという。人事の専門家が見直すべき従業員規則を4項目紹介する。

» 2022年12月21日 07時00分 公開
[Katie ClareyHR Dive]
HR Dive

 Diverse & Engagedのディー・C・マーシャルCEOは「多くの企業は従業員規則を更新していない。今こそ規則について再考すべきだ」と述べている。新年が迫るために新しい規則を展開するのではなく、「職場を席巻した変化の波」に合わせて規則を再考すべきだという。

見直すべき従業員規則4選

 マーシャル氏はHR Diveのインタビューに対し「パンデミックは人々の覚醒を促した。彼らは職場の規範を再評価し、その多くがもはや自分たちのために機能しないと判断した」と答えた。

 「労働者の新しい期待と雇用者の古い方針がぶつかるかもしれない」とマーシャル氏は警告している。パンデミックによって正常化した柔軟な働き方を禁止する方針は、時代遅れに感じられるかもしれない。「多くの企業は従業員規則を頻繁に更新していないだろう」と同氏は指摘する。

 マーシャル氏によれば、古くなったポリシーを無視する雇用主には2つのリスクがある。第1に「入社候補者や従業員を失うリスク」、第2に「イノベーションの機会を逃すリスク」だ。コンプライアンス違反で訴訟を起こされるリスクもあるという。

 雇用主が現在の方針を検討する際、規則を自分たちの価値観と照らし合わせて判断するための基準を作ることになるかもしれない。「規則を深く掘り下げ、ポリシーを評価するためのフレームワークを作成するチャンスだ」とマーシャル氏は話す。

 HR Diveは、マーシャル氏と他の2人に話を聞き、雇用主が2023年の規則を作成する際に再検討すべき4つの領域を特定した。

1:服装

 従業員がスエットでZoom会議に出席するようになる以前から、企業は服装規定を緩め始めていた。「パンデミックによって快適な仕事着が常態化した今、雇用主は新しい現実を考慮して服装に関するポリシーを確認する必要がある」とマーシャル氏は述べている(注1)。

 マーシャル氏とFisher Phillipsのパートナー、タイラー・T・ラスムッセン氏は「雇用主は『プロフェッショナルヘア』に関するポリシーも再考する必要がある」と述べている。「宗教的な服装と同様に、ヘアスタイル保護の要望も倍増している」とラスムッセン氏は語る。

 例えばCROWN法では、職場における人種に基づく頭髪差別を禁じている。CROWN法または類似の法律は19の州で制定されており、連邦レベルで採用を提案する法案が上院に提出されている(注2)。

2:就労形態(ワークアレンジメント)

 CompuComのCHRO(最高人事責任者)であるカレン・ライス氏は「ハイブリッドワークへの移行に伴い、コミュニケーションとパフォーマンスに関して明確な期待値を設定する必要がある」と述べた。「管理職と従業員の両方がハイブリッドワークを成功させる重要な役割を担っている。人事チームはそれをさらに容易にするためのツールやガイドラインを提供する必要がある」とライス氏は語る。

 労働者が柔軟性を求めているため、企業は特にこのテーマを意欲的に規則で取り上げようとしている。「不況であっても『大退職時代』(the Great Resignation)であることに変わりはない。企業は柔軟性を積極的に取り入れようとしている」(ライス氏)。

3:デバイス(テクノロジー)

 規則に記載されているテレワークやハイブリッドワークに関する項目において、デバイス(テクノロジー)に関するルールをまとめたポリシーが必要だ。多要素認証の導入により、従業員は自分のデバイスを使用できるようになった。「従業員は自分でデバイスを購入して使用することを、どのように考えているだろうか」と同氏は問いかける。

 従業員自身のデバイスの利用を許可している企業は、企業が従業員の機器費用を払い戻すかどうかを決定する必要がある。また規則には、安全性とセキュリティを確保するためのポリシーも含める必要がある。

4:病気休暇

 パンデミック以前は多くの州や自治体で病気休暇の法律がなかった。しかし、その状況は変わりつつある。「雇用主が規則を更新する際には、地元の弁護士と連絡を取り、自社のポリシーが準拠していることを確認する必要がある。雇用主は地方法の下で従業員に与えられる権利について、最新の情報を入手し、認識する必要がある」と同氏は述べる。

明確なコミュニケーションで変更を展開

 人事部が2023年版規則にどのような変更を加えるにしても、更新内容を従業員に伝える計画を立てる必要がある。「規則の変更前に伝えるのが理想的だ」とライス氏は述べる。

 「コミュニケーションの最初のステップは、従業員の声に耳を傾けることだ。従業員の不満に耳を傾け、認め、共感する人事部は、従業員の経験を改善し、生産性を高め、魅力的な文化を育むために、オープンなコミュニケーションを確立するための長い道のりを歩むことになる」(ライス氏)

 「規則が発行されたら従業員は新しい資料を確認して理解する時間が必要だ」とラスムッセン氏は語る。同氏は通常、このタスクを完了するための短い時間枠を労働者に与えることを推奨している。規則を読み通すのに十分な時間だが、目の前の仕事をおろそかにしない程度の時間枠が理想的だ。

 最後に、人事部はマネジャーと一緒に、変更点に関する質問に答えられるようにしておく必要がある。「規則に精通して質問に答えられる担当者と、従業員が時間を取れるような手順を確立するべきだ。従業員に指示する担当者は、変更内容とその実施方法を熟知していなければならない」」とラスムッセン氏は言う。

出典:5 employee handbook sections that may need an overhaul in 2023(HR Dive)

注1:Goldman Sachs relaxes dress code

注2:Creating aRespectful and Open World for Natural Hair

※原文では「マリフアナ(大麻)の使用と検査」について言及する項目があったが、日本でマリフアナは全面的に違法であるため割愛した。

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