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「どうしてあの人の方が給与がいいの!」にどう対応するのが正解?

Gartnerの調査から「自分が公正な給与を受けている」と考える従業員は約3割しかいないことが分かった。そういった従業員に対して、企業はどのような対策を講じればいいのか。調査結果と専門家の知見を解説する。

» 2022年12月23日 07時00分 公開
[Emilie ShumwayHR Dive]
HR Dive

 2022年第2四半期、Gartnerが3500人以上の従業員を対象に行った調査によれば「自分が公正な給与を受けている」と答えた従業員は32%で、「自分の給与が妥当だ」と答えたのも34%であることが分かった(注1)。公正な給与を受け取っていないと感じる従業員に対して、企業はどのような対策を講じればいいのだろうか。

なぜ不公平だと思うのか?

 Gartnerによれば、従業員の認識とは裏腹に、ほとんどの企業が「給与の公平性を優先している」と回答した。2022年7月の調査に回答したトータルリワード(注2)の責任者の84%が「給与の公平性に関する監査を毎年行っている」と答え、72%が「企業のシニアリーダーは給与の公平性を『高い』または『非常に高い』優先度と見なしている」と答えた。

 企業による公平性に向けた取り組みは必ずしも従業員に届くわけではないようだ。同社のHRプラクティス、シニアプリンシパルを務めるトニー・グアダニ氏は「従業員の給与の公平性に対する認識は給与そのものに根ざしているわけではなく、雇用主への信頼に根差している。従業員が雇用主を信頼していない場合、給与が公正または公平だとは認識しない」と述べる。

大切なのは「透明化」

 「公正な給与が支払われていない」という疑念を従業員が抱くのは「コミュニケーション不足」と「透明性の欠如」が原因の可能性がある。Gartnerによれば、2022年5月に行われた従業員調査の結果、自分の給与がどのように決定されるかを理解しているのはわずか38%で、給与について同僚に相談したり、第三者の給与サイトを利用して自分の給与を分析したりしているのは半数以下のようだ。

 給与の透明性は経営陣の間で論争の的となっており、法的に義務付けられていない場合、取締役会で発表されることをちゅうちょする人もいる(注3)。専門家は職場での給与の透明性について多くの長所と短所を明らかにしている。

 給与の透明性を確保することで、企業のDEI(注4)指標である「給与の公平性」を高めることができ(注5)、Gartnerの調査でも給与の公平性がシニアリーダーの優先事項として公言されている。一方同社によれば、給与情報を隠蔽(いんぺい)すると現在の従業員だけでなく潜在的な応募者の信頼を損なう可能性がある(注6)。フロントエンドで給与の透明性を確保することは、企業の採用活動のコスト削減につながる可能性もある(注7)。

 しかし、2022年9月にWTWが実施した調査では、雇用主の約3分の1が「給与の透明化に向けた準備が整っていない」と回答している(注8)。特に、2022年11月に行われたResumeBuilderの調査では、70%の従業員が給与の透明性を提示されたら「最高額を提示するよう求める」と答えている(注9)。また、コーネル大学の研究者は、給与の透明性が同僚からの羨望(せんぼう)を高めるという調査結果を発表した(注10)。

 職務記述書に給与範囲を掲載することは、職場の透明性に関する最も重要な論点の一つだ。完全な透明性の確保にちゅうちょしている企業は、そのことに従業員が気付く前に対策を講じておくべきだ(注11)。例えば、人事担当者と管理職は給与を決定するフレームワークを学び、共有することが重要だ。これは、2021年12月の調査で従業員の約半数が「上司が十分に答えられなかった」と回答した項目である(注12)。

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