ワークスタイルの多様化により、従業員同士が物理的に離れながら働くことが当たり前になった。しかし、場合によっては生産性や創造性を落とすこともあるという。
研究開発部門において、上級管理職と職場の距離が近いほど開発者の創造性が高まることが、Institute for Operations Research and the Management Sciencesが発表したレポートで明らかになった。『Management Science』誌のライターは「管理職との距離が近いほど、創造性が損なわれるどころか、むしろ創造性が開花する」と語った。
この関係について調査した研究者は「私たちは、これまでに(管理職と現場の)近接性が妨げられたことでブレインストーミングや創造が困難になったケースを見てきた。上級管理職が現場の近くにいることは、妨げになるどころかむしろ助けになる」と語った。
ヘルスケアのベンチマーキング企業であるSTEMでは、遠方に住む開発者は生産性が低いと考える。そのような開発者を雇用する場合は、生産性を補う他の利点がある場合に限るとする。
企業や人事担当者は「テレワークかオンサイトワークか」の問題を抱える中で、2023年にはその答えを固めようとしている。Resume Builderの調査によると、10社に9社が「少なくとも週の半分はオフィスに戻ることを義務付けている」と回答したという。さらに、5人に1人はオフィスに戻らない従業員を解雇すると答えた。
人材確保において、専門家は近接性バイアスに注意して慎重に動くよう勧めている。これは、管理職がリモートで働く従業員よりもオフィスにいる従業員に対して好意的な態度をとることによって生じるパンデミック時代特有の差別だ。
自宅で働いていて本社にいない、あるいはめったに出勤しない従業員は、昇進やキャリア指導の際に見落とされる可能性がある。また、近接誤差(過去の出来事に対する偏見)にもつながり得る。
特に人事考課の時期にはポジティブまたはネガティブなやりとりが多く、必ずしも仕事上の関係全体を反映しているとは限らないため、実際に受けるべき人事考課がゆがめられてしまう。
L&D(Learning & Development)企業LifeLabsのパネルディスカッションで、専門家は継続的に人事担当者にフィードバックする文化を醸成するよう推奨した。これによって従業員は期待に応えることができ、さらに上司は創造性や生産性、燃え尽き症候群、従業員のリテンション、ROI(投資利益率)の価値を考慮しつつも関係者のニーズを満たすことができるとパネリストは説明した。
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