AmazonやGoogle、Metaなど、巨大テック企業での相次ぐレイオフが話題だ。こうしたニュースは新卒者など、若手の人材にとって大きな不安となる。
Amazonのレイオフや、内定の延期や取り消しが大きなニュースとなっている。これはテクノロジー産業の在り方を問うだけでなく、STEM分野(※)の大学を卒業したばかりの学生にとって、将来の仕事に対する不安になっている。
テクノロジー産業における仕事の未来と、そこで人事担当者が若手の人材をどのようにサポートできるかについて、人材スペシャリストに話を聞いた。
※STEM:「科学」(Science)、「技術」(Technology)、「工学」(Engineering)、「数学」(Mathematics)の4つの教育分野の総称
ケイシャ・スティーブンソン・テイラー氏は、若手の人材に就職やネットワーキングの機会を提供する者として、インターンシップの要求変化を実感していると述べ、次のように続けた。
「私たちは、労働力に必要なスキルは『ソフトスキル』だと気付いた。ソフトスキルは、さまざまな雇用形態に対応するために不可欠なものだ」
ソフトスキルには、コラボレーションやコミュニケーション、問題解決能力や目的達成のプランニング、自己管理能力などが含まれる。「将来即戦力」の育成に加えて、人事担当者は学習と人材開発の機会を提供し続けるべきだとテイラー氏は語る。
さらにテイラー氏は「人事担当者は、チームワークとチームダイナミクスの重要性や批判的思考、包括的で公平な実践を強調すべきだ。また、人事担当者は若手人材にもリーダーシップの機会を提供すべきだ」と付け加えた。
クレア・バートランド氏は「この10年間の経済は本当にもろい。特にパンデミック以降、不安定な状態が続いているように感じる」と述べる。シリコンバレーで起こっているレイオフは良い兆候ではないが、バートランド氏は雇用市場の危機について語る領域を広げたいと言う。
「米国の全ての人がテクノロジー大手に雇用されているわけではないが、多くの人が窮屈に感じているだろう。多くの若年層が低賃金の職業やフードサービス、小売りなどの分野に集中している」(バートランド氏)
技術系の若手人材の中には、コンピュータサイエンスの学位を取得した卒業生や、コーディングプログラムなどの短期資格を取得した人もいる。バートランド氏によれば、中には高校生でありながら大学の科目を履修する人や働きながら学校に通っている人もいるが、彼らは低賃金の職業に集中する可能性が高いという。
バートランド氏は「それでは出世は望めない。また、インフレが進んでも賃金は変わらない」と語った。
タミ・フォーマン氏は「新卒者の就職活動に影響を与える最大のトレンドは、テレワークやハイブリッドワークへの移行だ。どこにいても仕事ができるようになれば、確かにチャンスは広がる。しかし、テレワークでキャリア初期にスキルを身に付けるのは難しいだろう」と語る。
同氏は「人事担当者は、優れたオンボーディング経験の提供を考え、オンラインだけではなく、時には直接会って指導する機会を作るべきだ。誰もいないオフィスに若者を連れて来るだけでは何の役にも立たない。経営者は若手の人材が成長できる適切な環境を作り出す必要がある」と続けた。
また、フォーマン氏は「Amazonのように入社時期を遅らせたり、内定を取り消したりする企業のニュースを耳にすると、求職者に同情する。1990年代の就職難の時代に卒業した者として、それはよく理解できる。ただでさえストレスフルな時代なのに、さらなるストレスが加わるのだから」と話す。
バートランド氏の同僚であるアルバ・マルティネス氏は、新卒者の将来について、専門家としての視点と個人的な視点で語った。同氏が若手の人材に伝えたかったこと、そして人材採用担当者が覚えておくべきことは、求職者が特定の科目の学位を取得したからといって、その分野の仕事に縛られるわけではないということだ。同氏は「何かを専攻しても、結局その分野には進まない人が多い」と語る。
テイラー氏と同様、マルティネス氏も移行可能なスキルの価値を強調し、次のように語った。
「私が所属する教育学研究会のためにバーチャルパネルを主催し、過去10年以内にディキンソン大学を卒業した教育学部の卒業生を招いた。彼らは、医療やテクノロジー分野に携わっている。中には金融の世界で活躍している人たちもいる。それは、自分自身がどのようなスキルを身につけるかがいかに重要かを示している」
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