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» 2023年03月29日 07時00分 公開

「給与、仕事、環境」の満足度が低い業種は? 社員が辞めていく会社の特徴

仕事をしていると、誰しも一度は転職を考えたことがあるだろう。そもそも、今の職場を辞めたくなる一番の理由はどこにあるのだろうか。給与と、仕事の進め方や業務内容、労働環境の視点から社員が離れる会社の特徴を考える。

[キーマンズネット]

 キーマンズネット編集部は「IT人材と働き方に関するアンケート」と題して大規模調査を実施した(実施期間:2023年2月8日〜3月3日、有効回答数532件)。本連載では、「IT人材不足」「スキルアップ・リスキル」「働き方・転職」「職場の人間関係」の4つのテーマに分けて調査結果を紹介する。

 第3回となる本稿のテーマは「働き方・転職」だ。先行きが不透明なVUCA時代とも呼ばれる現在、アンケート回答者は今の仕事のどこに不平を抱き、今後のキャリアをどう考えているのだろうか。現時点での転職意向と、担当業務と業務環境、給与と希望する昇給額を尋ねた結果を業種別、年齢別で考察する。

「転職したい」「検討中」は40代以上に集中

 終身雇用や年功序列を前提とした雇用制度が崩れ、同じ会社で定年まで働き続けることが困難な時代になった。追い打ちをかけるようにコロナ禍が訪れ、世界的にビジネスや雇用を取り巻く環境が不安定になったことから、今後のキャリアプランを見直す人も増えたのではないだろうか。

 厚生労働省が2022年9月に発表した「令和4年版 労働経済白書」によれば、ポジティブな理由による転職者は2019年までは増加傾向にあったが、現在(発表時点)は減少傾向だという。経済状況の悪化によって転職を検討せざるを得ない状況になった人が増加したためだとみられる。

 この状況を受けて、現在、転職によるキャリアプランの見直しを検討している人はどれほどいるのだろうか。調査対象者に対して転職の意思を尋ねたところ、全体で「転職は考えていない」が最も高く60.7%、「転職をしたいが転職活動はしていない」が31.6%、そして「転職活動中」としたのは7.7%となった。

 この結果を「20代〜30代」「40代」「50代」「60代以上」にグループ化して、年齢別にまとめたものが図1だ。「転職をしたい」とした割合が最も高いのが「40〜44歳/45〜49歳」のゾーンで、「転職したいが転職活動はしていない」(43.7%)と「転職活動中」(10.3%)を合わせると、54%となった。

図1 転職の意向と活動状況について(年代別)

 かつては一般的に「転職限界説」として35歳が区切りと考えられていたが、近ごろは大手人材会社がハイクラス転職サイトのようなミドル層をターゲットにした求人紹介サービスを始めるなど、40代以上を求めるニーズも増え始めた。若年層と比べると転職が容易ではないのに変わりはないが、雇用情勢も少しづつ変わりつつあるようだ。

ぬるま湯組織、出る杭は打たれる……社員が離れる会社の特徴

 前項目で「転職したいと思っており転職活動中だ」「転職したいが転職活動はしていない」とした転職の意向を示す人を対象に、その理由をフリーコメント形式で尋ねた。転職の代表的な理由として「給与・処遇」が挙げられるが、それ以上に「組織文化、体質」「仕事のやり方と業務内容」「キャリア、異動」への不満と、「職場環境の変化」に関する回答が集中した。

組織文化、体質への不満

  • 社長の思い込みで経営が振り回される
  • 心理安全性が高いというよりも、ぬるま湯体質なだけ
  • 異質なものに対して寛容さがない社内文化。意見を言うとたたかれるのみ。言わぬが仏の環境
  • 業務が属人化して組織化されていない会社風土

仕事のやり方と業務内容への不満

  • イレギュラーな業務がボランティアベースになっている
  • 現在の業務内容や社内風土では、希望するスキルの向上が難しい
  • 消化する以上に新たなタスクが次々と来る
  • 大手企業では業務分担が細かい。より広い業務に関わりたい

キャリア、異動に関する不満

  • 異動したいと何年も言っているのに異動できない
  • 同じ部署では発展性が期待できないため

職場、ビジネス環境への不満

  • 事業内容の縮小により、退職または他社への転籍を余儀なくされている
  • 部門内がギスギスした雰囲気で、長く仕事をしていけるイメージがない
  • 会社からのフォローが無い、相談する人がいないので孤独

 仕事は単に給与を得るだけでなく、個のキャリアを実現する手段でもある。近ごろはハラスメントやメンタルヘルスに関する問題が取り沙汰されるようになり、「どこで、何をするのか」が給与と同等に重視されるようになった。

給与の満足度が一番低い業種はどれ?

 先のコメントにもみられるように、給与に加えて業務内容や労働環境への満足度が従業員のリテンションに大きく影響する。ここからは、この3点に対する満足度を尋ねた結果を紹介する。

 まず、今の担当業務に対する満足度を尋ねた結果を見ると、「やや満足している」の割合が最も高く57.0%、次いで「やや不満である」が22.9%、「とても不満である」が8.3%となり、「とても満足している」は11.8%となった。

 この結果を業種別(5分野)に見ると(図2)、「とても満足している」の割合が最も高いのは(21.6%)「サービス業」で、最も低いのは「流通業」(10.0%)であった。

図2 今の担当業務に対する満足度(業種別)

 次に、給与に対する満足度は、「とても不満である」(15.2%)と「やや不満である」(39.7%)の合計値が54.9%、「とても満足している」(6.0%)と「やや満足している」が39.1%の合計値が45.1%と、満足派と不満派の差は9.8ポイントだった。

 この中で「とても満足」の割合が高いのが「サービス業」で9.8%、最も低いのが「流通業」で3.3%であった。

図3 現在の給与に対する満足度(業種別)

 給与に対する質問と関連して、会社に対してどの程度の昇給を望むか(年額)と尋ねたところ、「0〜50万円」が35.3%、「51〜100万円」が24.7%と続いた。年間201万円以上の昇給を求める声は「流通業」が多く、現在の労働への対価に最もギャップを感じる業種であることが分かる。

図4 希望する年間の昇給額(業種別)

 そして、最後に、現在の労働環境に対する満足度を尋ねた項目では、割合が高いものから、「やや満足している」(58.3%)、「やや不満である」(17.7%)、「とても満足している」(16.0%)となり、「とても不満である」が8.1%となった。

 これも同様に業種別で見ると、「とても満足」とした割合は「サービス業」が最も高く21.6%で、最も低い割合が「流通業」で6.7%だった。

図5 労働環境に対する満足度(業種別)

 現在の労働環境に対して「やや不満である」「とても不満である」と回答した人を対象に不満を感じるポイントを尋ねたところ、「週2回の出社義務がある」「在宅勤務の上限規制がある」「テレワーク補助がない」など、コロナ禍で多くの企業で浸透したにもかかわらずテレワークができない、あるいはオフィス勤務に戻ったことへの不満が多く寄せられた。

 その他、「人材不足で、部下に業務を割り当てられず自分で業務をこなすしかない」「継続的なスキルアップに消極的な人が多く、ごく少数のスーパーマンに業務が集中している」など人手不足に起因する業務負荷の高まりに不平を示す声も多く寄せられた。

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