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最も「クビ」になりにくい職種とは?

景気後退の予測を受けて、さまざまな職種で人員削減が進んでいる。どの職種が最も影響を受けやすいのだろうか。影響を受けにくい職種は何だろうか。

» 2023年03月29日 07時00分 公開
[Matt KapkoCybersecurity Dive]
Cybersecurity Dive

 2022年12月に日本や米国、英国、日本、ドイツ、シンガポールの経営幹部1000人を対象にした調査では、人員削減を受けやすい職種とそうでない職種がはっきり分かれた。

どの職種が影響を受けにくいのか

 あらゆる種類の組織でレイオフが迫っており、経済的困難が予測される中、レイオフは必要不可欠だと広く考えられている。

 レイオフの影響を最も受けにくい職種は「サイバーセキュリティ」の専門家だ。これは(ICS)2が2023年2月14日に発表した調査から分かった(注1)。(ICS)2はサイバーセキュリティ・トレーニングや認定資格を提供する非営利の団体だ。調査によれば2023年にサイバーセキュリティチームの人員削減があることを予想する経営幹部は10%しかいない。一方、増えると予想した経営幹部は42%もいる。

 (ISC)2のクラール・ロッソ氏(CEO)は、「これはおそらく、これまでで最もサイバーセキュリティの重要性が高まったということだ」と述べた。

 調査では人事や財務、運用、営業、マーケティング、IT、研究開発の経営幹部1000人に対して、8つの職種(サイバーセキュリティ、財務、人事、IT、マーケティング、運営、研究開発、営業)の人員削減について質問した。その結果、レイオフの影響を最も受けそうなのは人事(人員削減があることを30%が予想)や運営(24%)、財務関係者(24%)だと分かった。

 今回の調査ではITやサイバーセキュリティにバイアスがかからないようにするために、CIO(最高情報責任者)とCISO(最高情報セキュリティ責任者)を意図的に除外し、人員配置に最も責任を持つ人物からの視点を得ることを目的にした。回答者はITサービスや製造業、小売業、金融、ソフトウェア、医療、建設、通信といった企業に所属する。

なぜサイバーセキュリティなのか

 (ISC)2によると、知名度が高く被害も大きいサイバー攻撃が続いたことから、サイバーセキュリティチームが果たす重要な役割が強調された結果、サイバーセキュリティが経営トップの注目を集めている。

 「(調査結果は)組織におけるサイバーセキュリティの戦略的重要性に価値が置かれていることを反映しているのだろう」(ロッソ氏)

 調査では回答者のほぼ10人に9人が、サイバーセキュリティ担当者の削減がリスクを増大させると回答した。それと同時に約5人に4人は、人員配置に関係なく2023年には脅威が増加すると予想した。

 ロッソ氏によると、サイバーセキュリティ部門を大幅に縮小した組織は脅威の状態を評価したり、管理したり、重要なシステムのパッチを適用したりする際に時間がかかることが多い。チームが小規模だと、対応プロセスや取り組み手順でミスを犯しやすく、ITシステムの脆弱(ぜいじゃく)性を生む可能性がある。

 「サイバーセキュリティ部門の縮小は、組織がサイバーインシデントに見舞われ、データ漏えいを起こすことと非常に直接的に結び付いている」(ロッソ氏)

 調査の回答者の大多数(約10人中9人)は、2020年以降、所属する組織がサイバーセキュリティ担当者の採用を増やしていると答えた。約半数は景気が良くなった時にサイバーセキュリティの専門家を優先的に採用すると回答した。

そもそも景気は後退するのだろうか

 サイバーセキュリティ人材が経済的困難でどのような影響を受けるのだろうか。景気後退を予想する人は多いものの、そもそも実際に景気が後退していることを示すデータはまだ不十分だ。後退しているというデータもあれば、そうではないというデータもある。

 「ここ数年、私たちの耳元で景気後退をささやく人たちがいる。景気は後退するのだろうか。そうとも言えない。景気の先行き不透明感や世界的な不安定感はあるのだろうか。それには異論はないだろう」(ロッソ氏)

 (ISC)2はサイバーセキュリティの専門家に影響を与える大規模なレイオフについて、まだ伝え聞いていないという。そのため雇用は依然として堅調だと指摘した。

 少なくともサイバーセキュリティ関連企業の3社(Sophos、Okta、Secureworks)が2023年に入ってから人員削減を発表した(注2)。世界最大のハイテク企業のサイバーセキュリティ担当者の中には、大規模なレイオフの影響を受けている人もいる。

 「今から言うことは解雇された全ての技術者に向けた私の招待状だ。ぜひこの業界に来てほしい。サイバーセキュリティの仕事があるからだ。歴史的に見て、サイバーセキュリティ関連に転職するのに最適な人材はIT出身者であり、数百万人の雇用がある」(ロッソ氏)

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