「『Microsoft 365』と『Google Workspace』の利用状況(2023年)」ではMicrosoft 365ユーザーの不満として、2022年に頻発したTeams障害や円安に伴う値上げなどを紹介した。今回、紹介しきれなかった不満の声を「IT担当者300人に聞きました」番外編としてお届けする。
IT製品別の導入状況や、実際に使ってみて見えてきた運用課題、製品に対する満足度など、アンケート調査を基に読者企業の実態を紹介するキーマンズネットのレギュラーコーナーが「IT担当者300人に聞きました」だ。
アンケート調査では、IT製品をうまく活用できていない、または想定通りに運用が回っていないがために沸き起こる心のモヤモヤがフリーコメント欄に寄せられることも多い。本稿では、2023年3月に公開した「『Microsoft 365』と『Google Workspace』の利用状況(2023年)」でお伝えしきれなかったユーザーの不満の声を紹介する。
まずは、「Microsoft 365」と「Google Workspace」の利用割合を振り返ってみよう。
アンケート回答者(実施期間:2023年1月20日〜2月3日、回答件数:441件)に対して、現在、勤務先で利用しているオフィススイートを尋ねた結果をグラフにしたものが図1だ。最も割合が高いのが「Microsoft 365」で46.7%。「Google Workspace」やパッケージ版の「Microsoft Office」との併用を含めると71%に上る。調査結果の詳細は、「『Microsoft 365』と『Google Workspace』の利用状況(2023年)/前編」を参照してほしい。
そして、それぞれの満足度を尋ねた項目では、「満足」と「まあ満足」の合計値は、Microsoft 365は77.6%、Google Workspaceは83.1%となった。
「『Microsoft 365』と『Google Workspace』の利用状況(2023年)/後編」では、Microsoft 365とGoogle Workspaceの利用者から寄せられた不満に感じるポイントを紹介したが、今回は、利用割合が高いMicrosoft 365について、寄せられた不満の声をプラン別(Business Basic、Business Standard、Business Premium、Apps for business、E3、E5)に紹介する。これらの声から、各プランで生じやすい課題が見えてきた。
Business Basicは一般法人向けプランとして提供されており、「Microsoft Word」や「Microsoft Excel」といったOfficeアプリに加えて「Microsoft OneDrive」など、Microsoft 365の基本ツールで構成されている。コメントの中には、Office以外のアプリケーションも利用したいとの声があった。
Business Standardは、Business Basicで使えるOfficeアプリに加えて「Microsoft Teams」などが含まれており、一般的なビジネス用途で使うツールが一通りそろっているプランだ。「Microsoft Access」や「Microsoft Publisher」も付属するが、これらを必要としない従業員が多い組織にとってはBusiness Basicでも事足りるためか、その分のコストがもったいないなどのコメントが寄せられた。
Business PremiumはBusiness Standardの機能に加えて、モバイル端末管理ツールの「Microsoft Intune」や「Azure Information Protection」が加わる。このプラン以降の上位ライセンスにおいては「機能が多いため使いこなせない」などのコメントが目立つ。
Apps for businessはOfficeアプリに加えて「Microsoft Exchange」や「Microsoft Access」が付属するが「Microsoft Teams」は含まれておらず、その点に不満を感じる声があった。
E3以降の上位プランは大企業向けとして提供されており、「Microsoft Power Automate」などのRPAアプリも付属する。ユーザー部門では限られた機能しか使われていないためか、多機能が故にオーバースペックを指摘するコメントが目立った。
E5はE3で利用可能なアプリに加えて「Microsoft Active Directory Premium P2」が利用可能になるなど、充実したセキュリティ機能を備える。一般法人向けプランよりも利用できるアプリケーションが多い分、不便さを訴える声は少ないが、アップデート対応に追われるIT部門のコメントが目立つ傾向にあった。
各プランには一長一短があり選択が難しいところだが、Microsoft 365の機能を補う独自のソリューションを売りにするベンダーも多い。Microsoft 365の機能だけでまかなうか、それともサードパーティー製のツールを利用するかどうかは求めるセキュリティレベルやコストパフォーマンス、生産性を考慮しながら評価すべきだろう。導入前のアセスメントサービスや独自のバンドルツールと組み合わせて、低価格でライセンスを販売するベンダーもある。最新の情報を基に比較検討を進めたいところだ。
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