ERP導入は失敗が避けられないため、プロジェクトチームを入念に準備する必要がある。どのようなERPプロジェクトにおいても必要なチームとその任務を紹介する。
ERPの導入は失敗が避けられないため、必要なスキルセットを有する専門チームの入念な準備が必要だ。
チームには、企業の従業員のみならず、導入パートナーやコンサルタント、派遣社員など、社外からの人員を加えることも多い。必要に応じて、要件に関する意見を提示したり、新しいERPをテストしたりする従業員も参加する。
ERP導入のプロジェクトではどのような役割のチームが必要なのだろうか。12のチームと具体的な任務を以下に列挙する。
プロジェクトのエグゼクティブ・スポンサーは、他の組織リーダーの賛同を得るなど、組織を横断する業務に取り組む。
エグゼクティブ・スポンサーは、深刻な問題が発生した場合のエスカレーション・ポイントになり、必要に応じて資金を確保する必要がある。ERPの導入計画に影響を与えるような、他企業の知見を共有することもある。
プロジェクト・リーダー/オーナーはプロジェクトの責任者だ。リーダー/オーナーは、他のチームメンバーの意見を取り入れながら、ほとんどの重要な意思決定を行い、エグゼクティブ・スポンサー以外のエスカレーション・ポイントになる可能性がある。
リーダー/オーナーは一般的に、プロジェクトチームの編成や予算の策定と承認、高レベルな事項に関するベンダーとの連携、難易度の高い意思決定などを担当する。リーダー/オーナーは組織のシニアメンバーが務める傾向がある。
プロジェクトの規模や導入パートナーの人数にもよるが、複数のプロジェクト・マネジャーが同時にERP導入に取り組むことがある。例えば一人が社内の人員を指揮し、もう一人が導入パートナーの人員を指揮するなどだ。
非常に大規模なプロジェクトでは、プロジェクト全体を統括するシニア・プロジェクト・マネジャーと、サブプロジェクトを管理するジュニア・プロジェクト・マネジャーを任命することもある。
ERPライセンスの販売ベンダーやERP導入の専門家といった社外の担当者が導入を支援することが多い。
通常、最適な導入パートナーは複数回のERP導入経験がある。基本的な流れとしては、チームと協力して要件を明確化した後、システムを設定する。導入パートナーはプロジェクトに関連する幹部会議に参加し、システム設定における決定を文書化し、テストを支援して会議を進行する場合もある。
SMEはプロジェクトを通じて重要な役割を担う。要件定義を支援し、システムの導入後はテストを実施し、トレーニング資料の作成を支援する。
ERPの導入をリードするITチームは、要件定義やプロジェクト管理で重要な役割を担う。ERPを社内システムと確実に統合する他、プロジェクト・マネジャーを任命する場合もある。
ITチームはセキュリティに責任を持ち、ERPベンダーが提供するソフトウェアの安全性を確認する。確認プロセスは企業が契約に同意して署名する前に開始する。
プロジェクト全体を通じて、チームはERPのテストを実施し、ERPが従業員のニーズを満たしているか、技術チームが要件通りに実装しているかを確認する。
通常、SMEをテストチームの一員とする他、従業員も加えるべきだ。導入チームのメンバーは馴染みのある機能のテストを省略する可能性があり、従業員を加えることでテストの範囲を広げられるためだ。
コミュニケーションチームは、チェンジマネジメント(変革管理)を成功させる上で非常に重要だ。彼らは、新しいERPの必要性や従業員に与える影響、企業にとっての重要性を説明する従業員へのメッセージを作成する。
プロジェクトチームの他のメンバーは、従業員への定期的なコミュニケーションを見落としたり、手を抜いたりすることが多い。コミュニケーション不足はシステム導入に悪影響を及ぼすことにつながる。
従業員が新しいERP(場合によってはサードパーティー)を利用するためのトレーニングは、従業員がERPを適切に使用し、新しいプロセスに適応し、システム移行期間中に生産性が著しく低下しないようにする上で重要だ。トレーニング担当者は、新入社員向けのトレーニング資料も作成する必要がある。
データ移行はERP導入に多大な影響を与えるため、データ移行リーダーが必要だ。技術チームが重要な情報を変換しなかったり、正確に変換できなかったりすると、従業員はデータが修復されるまで古いERPを利用し続けなければならないためだ。データが不正確な場合、サプライヤーや顧客にも悪影響を及ぼす可能性がある。
コンサルタントは社内に欠如していることが多いプロジェクト経験を支援する。コンサルタントは、要件の策定やERPの評価、新しいERPのテストなどを支援する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。