メディア

IT人材に人気の企業の特徴、入社の決め手は?【読者調査】

「キーマンズネット」編集部は2025年に注目すべきトピックスについて読者調査を実施した。第3回のテーマは「IT人材」だ。IT人材の過不足状況や入社の決め手、IT人材が集まる企業の特徴を紹介する。

» 2025年01月15日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 キーマンズネット編集部は2025年に注目すべきトピックスとして「セキュリティ」「生成AI/データ分析」「コミュニケーション/コラボレーション」「IT人材」「VMware移行問題」「PC事情(AI PC/Windows 11)」「レガシーモダナイズ」の7つのトピックスを抽出し、読者調査を実施した(実施期間:2024年10月25日〜12月6日、有効回答数427件)。

 第3回のテーマは「IT人材」だ。IT人材の過不足状況や入社の決め手、IT人材が集まる企業の特徴を紹介する。

業界業種、企業規模ごとのIT人材の不足状況

 まず、勤め先のIT人材確保の過不足状況を聞いたところ、「大幅に不足している」(31.9%)、「やや不足している」(45.7)を合わせた77.5%が不足していると回答した(図1)。

図1 IT人材の過不足状況

 企業規模ごとに見ると、同様の質問に対して100人以下の企業は74.8%、101〜500人は83.7%、501〜1000人は77.1%、1001〜5000人は71.4%、5001人以上は79.5%が不足していると回答した。

 2024年2月にキーマンズネットが実施した読者調査「人材と働き方に関するアンケート」を実施した(実施期間:2024年2月1日〜2月28日、有効回答数528件)で聞いた同様の設問では、82.2%が不足していると回答したことから、ここ1年弱で人材不足が改善した可能性がある。

 業界業種別で見ると、サービス業は「大幅に不足している」(40.0%)、「やや不足している」(46.7%)の計86.7%が不足していると回答した。IT関連業(ベンダー/SIerなど)は77.6%、製造業は79.0%であったことからもサービス業でIT人材が不足しているのが分かる(回答者数30以上)。

 次に、回答者自身がIT人材かどうかを聞いたところ、全体の67.7%に当たる289人が「IT人材に該当している」と回答した。具体的な職種を聞いたところ(複数回答可)、「社内システム(社内SE、コーポレートエンジニアなど)」が127回答、「システムエンジニア」が92回答、「プロジェクトマネジャー」が89回答、「ネットワークエンジニア」が75回答、「プロジェクトリーダー」が61回答、「ヘルプデスク」が59回答、「セキュリティエンジニア」が54回答、「ITコンサルタント」が50回答、「プログラマー」46回答、「品質管理」が31回答、「IT戦略策定担当者、CIO(最高情報責任者)/CDO(最高デジタル責任者)」が30回答と続いた(回答者数30以上)。

 回答数の合計が842であることから、平均すると担当者当たり3つ弱のIT職種を兼任しているのが分かる。従業員規模別に見ると、100人以下の企業は3.7職種であるのに対し「101〜500人」は2.9、「501〜1000人」は2.6、「1001〜5000人」も2.6、「5001人以上」は2.2と企業規模に比例して少なくなる。

給料ではない、IT人材の入社の決め手

 次に、IT人材に対して現在の勤め先に入社した決め手を聞いたところ、「業務内容が自身のスキルに合っていた」(40.1%)、「勤務地が家から近かった」(19.7%)、「会社の事業内容が魅力的だった」(13.1%)、「別会社から転籍した」(12.5%)、「スキルアップが見込めた」(10.7%)と続いた。「給与が高かった」については7.3%と低い(図2)。

図2 IT人材が入社した決め手

 一番回答が多かった社内システム(社内SE、コーポレートエンジニアなど)の人の入社理由を見たところ、「勤務地が家から近かった」が27.6%と平均を8ポイント近く上回った。また、「別会社から転籍した」が18.1%とこちらも平均を6ポイント近く上回っている。

 他の職種に比べて回答の傾向が異なった職種としてはセキュリティエンジニアが挙げられる。「給与が高かった」が14.8%(平均12.5%)、「スキルアップが見込めた」が18.5%(平均10.7%)となった。また、「会社の事業内容が魅力的だった」が18.5%と平均13.1%を大きく上回る。セキュリティエンジニアは「攻撃者から守りたい」と思える企業で働くのかもしれない。

 従業員の規模別で見ると、「ワークライフバランスが良い働き方をできた」との回答が100人以下の企業で12.8%、101〜500人の企業が14.3%と平均8.3%を大きく上回った。対して501〜1000人の企業は0%、1001〜5000人の企業は3.7%、5001人以上は0%と、500人を境にワークライフバランスに対する考えに大きく差が開いた。

 また、5001人以上の企業は顕著な項目が多かった。「業務内容が自身のスキルに合っていた」が31.4%(平均40.1%)、「勤務地が家から近かった」が9.8%(平均19.7%)、「別会社から転籍した」が3.9%(平均12.5%)と平均を大きく下回る項目が多い。他にも、100人以下の企業は「会社の事業内容が魅力的だった」が8.1%と平均13.1%を下回り、「知人が働いていた」が15.1%と平均8.3を上回った。

IT人材が集まる企業の特徴

 最後に、IT人材に対して現在の業務に対する満足度を聞いたところ、「とても満足」(13.8%)と「やや満足」(46.4%)を合わせた60.2%が満足と回答した(図3)。従業員規模別に見ると、「501〜1000人」の企業は66.6%と平均を大きく上回る。

図3 IT人材の業務に対する満足度

 「とても満足」「やや満足」と回答した人に、「具体的にどのような点に満足しているか」をフリーコメントで聞いた。合計106件の回答が寄せられ、最も多かったのは「仕事内容の自由度や裁量」に関するコメントだ。

仕事内容の自由度や裁量に関するコメント

  • サーバ管理やネットワーク管理の知識を生かせている点と裁量が大きい点
  • 全てにおいて裁量が認められていること
  • 自分の裁量でチャレンジできる点
  • 決定権があるなど裁量が与えられており、ある程度思った通りの方針、業務ができている
  • ソフトウェア選定などで裁量があるところ
  • 現在は人数が増えたが以前は一人の情シスの期間が長く、方針策定や取組課題を自身の裁量で決められた。コストの面からすぐには通らないこともあったが、提案に対する理解を得られ次第、順次進められている

 スキルに関するコメントも複数寄せられ、「30年以上に渡って働いてきた経験やスキルが活用でき、若いエンジニアの教育ができていること」「前職で培ったスキルやノウハウを異業種である現職で発揮している。もともとはSIerで業務しており、製造業の総務(IT関連担当)として転職したため、(スキルを)生かせている」など、業務とスキルのマッチングについてのコメントが多い。

 「最新技術やAWSの勉強をでき、日々スキルアップしている」「自分のスキルを生かせること。努力次第で自分のスキルアップが図れること」などスキルアップに関するコメントも複数あるが、スキルマッチに関するコメントに比べると少ない。また、自由度や裁量、スキル関するコメントを組み合わせたものも複数寄せられている。

仕事内容の自由度や裁量、スキルに関するコメント

  • 自由度が高く、自分で施策を決定して提案すると、ほぼその通りに決裁され、実行できる。中小企業であるため何から何まで担当しなければならないが、その分、前職よりも(業務の)幅が広くなりスキルが向上している
  • 社内全てのシステムや業務プログラムなどを自作している。プログラムはマルチOS対応しており、自由にプログラム言語(の選定)や作成方式(の決定)などが可能になっている。オンプレからクラウドまでがあり、スキル向上が見込める
  • 自身のスキルにあった仕事量になっており、進め方も自身の裁量に任されている

 また、「給与水準」に関するコメントも多く寄せられている。前述した通り、現在の勤め先に入社した決め手で「給与が高かった」との回答は7.3%と低かったが、業務に対する満足度に対する給与の影響は大きそうだ。

給与に関するコメント

  • 休みも普通に取れて、それなりに給料もらっているので、特に不満無し
  • 給与水準に満足
  • 残業の少なさと給与の高さ
  • スキルアップができ、その結果、給与アップした
  • 自分のやりたいこと、業務の負荷、給与などに大体満足しているため

 他にも、「やりたいことを理解した上で実行させてもらえる環境にある。責任重大ではあるが、その分やりがいはある」や「幅広い事業企画、販売戦略策定、IT人材育成などを担当しており、企業業績に直結するためやりがいはある」といった、やりがいを重視するコメントも寄せられている。

 最後にフリーコメントの結果をワードクラウドで整理した(図4)。「裁量」が大きくなっていることからも、IT人材が働く上で欠かせない条件であることが分かる。

図4 IT人材が業務に満足している理由(フリーコメント) ※ユーザーローカルAIテキストマイニングによる分析( https://textmining.userlocal.jp/ )

 なお、回答者427人の内訳は「情報システム部門」(38.9%)、「製造・生産部門」(13.1%)、「営業・販売部門」(9.6%)、「総務・人事部門」(7.5%)、「経営者・経営部門」(5.2%)、「経営企画部門」(3.5%)、「営業企画・販売促進部門」(2.6%)、「マーケティング部門」(2.1%)、「財務・会計・経理部門」(1.9%)、「資材・購買部門」(1.6%)、「広報・IR部門」(0.2%)、「その他」(13.8%)であった。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。