メディア

AWSのCEOが「みんなWindowsから脱却したがっている」と強気に出れるワケ

AWSのCEOであるマット・ガーマン氏は「顧客が欲しがっているものは、Windowsから脱却するための“簡単なボタン”だ」と述べた。

» 2025年02月10日 07時00分 公開
[Matt AshareCIO Dive]
CIO Dive

 AWS(Amazon Web Services)は2024年12月2日(現地時間、以下同)に年次カンファレンス「re:Invent」を開催した。同社のマット・ガーマン氏(CEO)は基調講演で次のように述べた。

 「顧客は『Windows』から脱却するための“簡単なボタン”を欲しがっている。Windowsで絶え間なく発生するセキュリティの問題やパッチ適用、対処しなければならない拡張性の課題に顧客はうんざりしており、煩わしいライセンス費用を間違いなく嫌っている」

 ガーマン氏は、いったいなぜ強気に出れるのだろうか。

AWSのCEOが「攻めの姿勢」に出れるワケ

 Amazonは2024年12月2日の発表で(注1)、.NETおよびメインフレーム、VMwareのワークロード向けの「Q Developer」(以下、Q)の変革機能について説明した。この機能は、開発者がWindowsアプリケーションを「Linux」に移行したり、VMwareの展開を【Amazon Elastic Compute Cloud】(EC2)環境に移行したり、レガシーコードの分析を自動化するのを支援したりすることを目的としている。

 生成AIがクラウド業界の覇権争いに新たな展開を作り、AWSは攻めの姿勢に出た。

 AWSの親会社であるAmazonのCEOで、元事業部長であるアンディ・ジャシー氏は、2024年10月31日の決算説明会で「当社は他の主要なクラウドプロバイダーが提供する機械学習および生成AI機能の合計の2倍に相当する機能をリリースした」と述べた(注2)。

 AIベンダーの市場で、企業がビジネスソリューションおよびプロセス改善、実質的なROIを求める中で(注3)、量は有用性ほど重要ではないかもしれない。コーディングタスクを自動化し、アプリケーションのモダナイゼーションを容易にするエージェントツールは、企業の潜在能力を引き出すための新しいユースケースを代表するものだ。

 ガーマン氏は、2024年12月2日に次のように語っている。

 「エージェントの活用によって、重要ではあるが差別化されていないタスクに費やされる時間を大幅に削減し、開発者が付加価値のある活動により多くの時間を使えるようになる」

 この技術を強調しているハイパースケーラーはAWSだけではない。2024年11月、Google Cloudはパートナーがエージェントソリューションを構築および展開できるように支援するAIエージェントのエコシステムとマーケットプレースを導入し(注4)、Microsoftは「Copilot」をベースとするAIエージェントのポートフォリオを拡充した(注5)。

 Amazonは2024年7月にQアプリ向けの開発ツールキットを発表した(注6)。2024年12月2日の週にガーマン氏が発表した機能は、オンプレミス型のワークロードをクラウドに移行させ、他のプロバイダーから自社に顧客を引き寄せることを目的としている。

 「Windowsはデータセンターの近代化の進行を遅らせている唯一のレガシープラットフォームではない。顧客と会話する中で、データセンターから完全に脱却したいと顧客が考えるケースが増えている」(ガーマン氏)

 AWSのインフラは引き続きクラウド内でVMwareのワークロードをサポートする。両社は、2024年12月1日に「Amazon Elastic VMware Service」のプレビュー版を発表し(注7)、顧客が「VMware Cloud Foundation」を「Amazon Virtual Private Cloud」に展開できるよう支援するソリューションを提供する形でパートナーシップを拡大した。

 「多くの顧客は、既存のVMwareのワークロードの一部がVMwareで動作し続けることに満足しているが、それらが自社のデータセンター内で動作し続けることは望んでいない」(ガーマン氏)

 その他のワークロードについてAWSはQをベースとするソリューションを用意している。

 「私たちは、VMwareがデータセンターに深く根付いていることを把握している。VMwareは長い間そこにあり続け、そのために相互接続されたアプリケーションがスパゲティのように複雑な状態になってしまっているのだ」(ガーマン氏)

 ガーマン氏は、エージェント駆動型の代替案を提案した。同氏は「Qは、VMware上で動作しているワークロードを容易に近代化し、クラウドネイティブなソリューションに移行するのを支援できる」と述べた。

© Industry Dive. All rights reserved.

会員登録(無料)

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。