「Microsoft 365 Copilot Business Chat」(以下、Microsoft 365 Copilot)の利用率が大きく向上した。一方で、導入してはみたものの、課題があるとする声もあるようだ。
Microsoft 365がAIを統合したツールとしての存在感を増す中、「Microsoft 365 Copilot Business Chat」(以下、Microsoft 365 Copilot)の利用率も大きく向上した。一方で、導入してはみたものの、課題があるとする声もあるようだ。
本稿では、「Microsoft 365 Copilotの利用状況実施期間:2023年1月6日〜17日、回答件数:169件)の調査結果を基に、Microsoft 365 Copilotの導入企業の課題や効果を感じたユースケースを紹介する。
Microsoft 365 Copilotを導入している企業に、導入時に困ったことを聞いたところ「どのような業務に使えばよいのか分からない」(33.3%)や「セキュリティ設定が分からない」(28.1%)を筆頭に、「費用対効果(ROI)が示しにくい」(28.1%)、「期待した効果が得られない」(24.6%)、「ライセンス費用が高い」(21.1%)が上位に続いた(図1)。こうした課題は未導入企業の懸念点として挙げられたものだが、導入後も同様の課題が浮上するようだ。
こうした生成AIのユースケースや技術、ROIといったさまざまな課題を解消し、社内での利用を普及させるために主導組織を設ける企業もある。Microsoft 365 Copilotを「誰が主導で導入したか」を聞いたところ「社内システム管理を担当する情報システム部門が主導」(65.7%)や「社長、役員、または経営企画部などの経営層が主導」(25.7%)が上位に挙がり、ユーザー部門ではなく、システム専任部門や経営層によるトップダウンでの導入が多いこと分かった。
生成AIは、経営層や情報システム部門にとって導入効果を想定しやすい領域とされる。ドキュメント作成や検索の工数削減、思考整理の支援、意思決定の迅速化といった効果が、競争力強化につながると認識されやすいためだ。そうした組織がトップダウンで導入を主導し、利用促進のための施策や技術的な問題の解消、研修の企画などを担い、生成AIの普及を後押しする例も見られる。
関連して、Microsoft 365 Copilot導入企業においては利用促進のための施策として「社員向け研修やワークショップの実施」(42.9%)や「利用手順やガイドの配布」(28.6%)、「成功事例や活用シーンの共有」(25.7%)など実施している(図2)。Microsoft 365 Copilotのメリットや使い方を教える啓蒙施策から、「業務テンプレートやツールの統合」(8.6%)や「利用促進の目標(KPI)の設定」(2.9%)のような定着施策まで、さまざまな工夫をこらしていると分かる(図3)。
最後に、「Microsoft 365 Copilotによって週当たりどれくらいの工数削減効果が得られたか」を聞いたところ、過半数が「60分以下」と回答した。
ただし、参考までに工数削減効果が1時間以上(「1〜3時間」「3〜5時間」「5時間以上」の合計値)と高かったケースを挙げると「文章、資料作成支援」(45.7%)や「会議、議事録作成サポート」(37.2%)、「ドキュメント検索」(37.1%)、「アイデア生成」(37.1%)などが続いた(図4)。
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