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年間300件の不良品に悩まされた町工場 データ基盤整備で改善へ

航空機部品や半導体生産設備などを手掛ける製造業者・ながぬまは年間300件の社内不良に悩まされていた。製造業データプラットフォーム「CADDi」の導入で、品質の標準化が進んだ。

» 2025年09月26日 07時00分 公開
[後藤大地有限会社オングス]

 キャディは2025年9月19日、航空機部品や半導体生産設備などを手掛ける製造業者・ながぬまにおける、製造業データプラットフォーム「CADDi」の導入事例を公開した。

 ながぬまは2015年まで手書き指示書に依存しており、情報の属人化や品質のばらつきが深刻で、年間約300件の社内不良が発生していた。この不良件数は、同社の規模にとって看過できない水準であり、製造現場における再作業やコスト負担の増大を招いていた。

 人口減少や高齢化による職人不足に対応するため、三代目代表取締役の長沼彰氏はDX投資を推進してきたが、既存システムではファイル名の手入力などが課題として残り、抜本的な効率化が求められていた。

 CADDiの導入により、受注データ入力の自動化や情報の一元管理が可能となり、手作業による工数が減った。従来は担当者が案件ごとに記録を探し出す手間が発生していたが、導入後は検索性が高まり、記録の参照や共有が円滑になったという。図面と完成品写真をひもづけて管理する運用を徹底した結果、経験の浅いスタッフでも正確な製造判断ができる体制が整備された。年間300件に及んでいた社内不良が削減され、品質の標準化が進んだ。

 導入の背景には、過去の投資で醸成されている現場主体の改善文化があったという。経営者主導ではなく、現場の声を基点とした取り組みが広がり、改善の加速につながった。

 長沼氏は「現場から改善提案が上がることが一番の成果であり、スタッフが自らの技術に誇りを持って働ける会社にしたい」とコメントしている。

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