Workatoは「WOW Tokyo 2025」カンファレンスを実施した。講演の一つでは同社の高柳氏がDXによる効率化と競争優位性について語り、同社におけるDX支援の在り方や目的を述べた。
Workatoは2025年11月5日、「WOW Tokyo 2025」カンファレンスを実施した。講演の一つとして同社の高柳雄太郎氏が「効率化と競争優位性をもたらすAIワークフロー」を題目とし、DXについて話した。
高柳氏は冒頭で、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の定義を経済産業省のデジタルガバナンス・コード3.0から引用し、「DXの定義の中でも重要な内容は、業務そのものや組織、プロセス、企業文化、風土を変革して競争上の優位性を確立すること。優位点の確立により企業を存続させていくところが最も重要だといえる」とした。
続いて、競争優位性の定義について語り、「企業が競合他社に打ち勝って利益を上げるための強みや能力」とした上で、その戦略を3つに大別して述べた。
1つ目は、「コスト・リーダーシップ戦略」として、「規模の経済や経験曲線の理論によりコスト面で優位を目指すこと。経験を積みコストが圧縮されること活用することで、コスト面で最大限の優位を目指し利益を増やす。価格を市場の中で一番低いものとし、シェア拡大を狙っていく」と説明した。
2つ目の「差別化戦略」は、品質などで自社のサービスなどを差別化し、優位性を確立していくこと。そして、3つ目の「集中戦略」は、それらのコスト・リーダーシップ戦略や差別化戦略を特定の顧客セグメントや製品、地域などに集中して行っていくことと述べた。
また、それぞれに対応した活用方法についても挙げた。
コスト・リーダーシップ戦略にのっとった活用としては、AIによる自動請求処理やコールセンターの自動応答、AI経費監査フローなどを例として挙げ、効率化および自動化によるコスト削減とスピード向上による変革を説明した。
差別化戦略では、顧客体験と品質の高度化やナレッジの活用として、マーケティングの自動化や顧客の声の解析、品質チェックをAIによって支援していくことを例示。
集中戦略においては、特定業界向けの自動レポート作成や種別の需要予測や在庫調整といった、特性顧客への深い理解に基づく高精度な価値を提供することを挙げた。
高柳氏は、「競争優位性は、これらの3つに大別される。大切なことは、DXを進めるに当たり、自社がどの戦略をとっているのかということ。その戦略に沿う形で業務プロセスの変革を進めることが、DXの本来の推進であり、最終目標に到達する中で重要であると考える」とした。
続いて、具体的にどのように変革を進めていくかについて、Workatoの「エンタープライズオーケストレーションプラットフォーム」をサンプルとして紹介した。「Workatoのプラットフォームは、プロセスのオートメーションやAPIマネジメントなどを強みとする。それらの強みを土台として、具体的なAIエージェントを構成している」と述べ、Workatoの考えるAI活用の成熟度を3段階に分けて説明した。
レベル1は、「特定領域に閉じたAI活用」として、「Microsoft Copilot」などを駆使してレシピやドキュメントなどの作成支援を行い、特定の役割の生産性を向上させるためのLLM活用と説明。
レベル2は、「複数領域に関わるAI活用」で、複雑な業務プロセスなどを、AI活用でスマートにするものとした。
その先のレベル3は、「自律的AIの活用」とし、エージェントによるビジネスアクションや企業の業務プロセスの自動発見とオーケストレーションを図りつつ必要に応じて人間を介入させることが可能な段階だとした。
高柳氏は「DXとは、業務やプロセス、文化を変革して、競争優位性を確立することが目的。効率化自体も重要だが、それにより確保できた時間で何をすべきかまで考えることで推進が達成される。その上で、AIが各企業の戦略をどのように支援できるかを察すると、より効率的な活用が可能になる。われわれWorkatoは、AIを活用した業務プロセスを変革支援するパートナーとして携わっていきたい」と締めた。
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