調査によると、AIは企業全体で急速に普及しているが、ツールの正確性に対する懸念やAIユーザーへの不満感なども同様に広がっていることが分かった。
オンライン教育プラットフォームを提供するUdacityが2025年9月に2000人を対象に実施した調査によると(注1)、品質や正確性への懸念が高まる中、従業員はAIを完全には信頼していないことが明らかになった。
報告によると、従業員の4分の3が作業の途中でAIツールの使用を中止しているという。そのうちの半数以上は「正確性や品質への懸念」を理由に挙げ、約40%は「AIが生成した出力を修正および調整するのに時間がかかり過ぎる」ことを理由としている。
従業員の約半数は「AIを使って仕事をしている同僚の成果を信用できない」と答えた。また、3人に1人以上の回答者が「職場でAIを常用している同僚を、以前よりも低く評価するようになった」と答えている。
経営層がAIの導入に熱意を示している一方で、全ての従業員が導入を歓迎しているわけではない。従業員による反発や不安はAI導入の取り組みを頓挫(とんざ)させる要因になる。
生成AIの導入を進める動きは、一部の企業で従業員間の対立や分断を生んでいる。AIソリューションを提供するWriterが2025年3月に発表した報告書によると(注2)、従業員の中には自社のAI戦略の実行を意図的に妨害したと認める者もおり、その割合はZ世代とミレニアル世代の従業員の41%にのぼった。
CIO(最高情報責任者)が導入戦略を策定する際、従業員を巻き込み、理解と支持を得ることがこれまで以上に重要になっている。
金融機関であるClearview Federal Credit Unionのレイモンド・ジョージ氏(CIO)によると、従業員にAIツールの使い方を十分に理解させることが、組織が投資効果を最大限に引き出す方法だという。
ジョージ氏は『CIO Dive』に対して次のように語った。
「新しいテクノロジーには常に抵抗感や不安が付きまとう。しかし、人間として重要なのはそこに役割を見出すことだ。AIから何かを得た場合、内容を読み取り、正確であることを確認するのはAIを使用した者の責任だ」
ジョージ氏は「業務の中でAIを本当に有効なものにするためには、従業員が技術を理解し、ツールの使い方を身に付ける必要がある」と述べた。
「AIの使用に関するライセンスを得たにもかかわらず、ライセンス費用に見合うだけの時間の節約ができていないのであれば、それはAIを正しく使用できていないことを意味する。AIはGoogleのように質問をすれば大量の結果が返ってくるという技術ではない。反復的なプロセスが必要であり、何度も問いかけながら自分の作業を洗練させる技術なのだ」(ジョージ氏)
企業の中には、研修やスキル向上に関する取り組みがチームをまとめるうえで有効であると考えるところもある(注3)。一方、製薬企業であるAstraZenecaのように、従業員によるAIの活用に対して明確な期待を示し、飴と鞭の両面から従業員の意欲を引き出そうとする企業もある。
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