AIを使わない社員をどう動かした? ファストドクターの「Notion AI活用」3ステップ

ファストドクターは、多くの組織において課題となっている生産性向上に、全社で取り組み成果をあげている。本稿では、同社がどのようにAIを活用して情報共有の仕組みを構築したのか、活用事例とともに紹介する。

 社会の高齢化が進み、医師1人当たりが受け持つ患者数が増え、社会保障負担が増大する中、医療業界において生産性の向上が重要な課題となっている。

 「限られたリソースで、いかに効率良く、質の高い医療を提供できるかが重要だ」と語るのは、ファストドクターの西岡悠平氏(最高技術責任者)だ。

 本稿では、同氏による講演を基に、生産性の向上につながる社内情報共有の方法を3つのステップに分けて紹介する。

本稿はアイティメディア主催のオンラインイベント「変わる情シス」における、西岡氏の講演「ファストドクターが実践する 生成AI時代の社内情報共有」の内容を基に構成した。

ステップ.1 生成AIによる情報共有ループ

 生産性向上につながる情報共有体制を構築するために、ファストドクターがはじめに取り組んだのは「Notion」の導入だ。Notionをどのように広げ、どのような成果を得たのか確認してみよう。

Notionの導入

 西岡氏によると、ファストドクターでは内部統制を本格的に強化する前から、テクノロジー部門でNotionを使っていたという。その後、全社でセキュリティと管理性を見直す機会があり、一度はNotionのアカウント数を減らそうとした。そうした中で西岡氏はCEOとCFO(最高財務責任者)に対して、Notionの全社導入を提案した。

 「全社導入にこだわったのは、全従業員が同じツールを使えるようになることで『Notionは見られないからPDFで資料を送付してほしい』という情報のバリアがなくなるためだ。また、将来を見据えて従業員のスキルの底上げをするためにAI機能は必須だと考えた」と西岡氏は語る。

 また、西岡氏は当時を振り返り、「提案が承認された後のNotionへの移行には気合いが必要だった」と述べる。「Asana」などの他ツールも併用しており、それらのツールで行われていた業務をNotionに移行しなければならなかったためだ。移行の際は、意義を丁寧に説明し、移行ツールを使用したという。その結果、AsanaとNotionを一部の人数に限定して併用する案と比較して、大幅なコストカットを達成できた。

Notion AIで新しい情報共有の加速

 西岡氏は「Notion AI」機能について、「使用し始めて、情報共有のループを実現できた。これは予測できなかった嬉しい効果だった」と語る。同氏はNotion AIから情報取得できるところまでは予測していたものの、Notion AIを活用した情報発信や、それによるドキュメントの増加、情報取得から情報発信へのモチベーションの向上は予測していなかったという。

Notion AIによる情報共有ループ(出典:イベント講演資料)

 情報取得のために特に使用している機能として、西岡氏は「Notion AI Q&A」を挙げた。Notion AI Q&Aはワークスペース全体の情報を活用して、質問に対する答えを生成する機能だ。西岡氏の感覚によると、80%から90%という高い精度で回答を生成するという。Notionや「Slack」「Google Drive」の情報を活用でき、引用元が示されるため誤った回答も見つけやすい。

 情報発信の場面では、「ChatGPT」でもできることがNotionだけで完結する点が従業員の負担削減につながっている。ファストドクター内の情報をまとめてNotion AIに作らせ、たたき台を手直し、情報発信に役立てている。

 「Notion AIを活用して退職する従業員のための乾杯の音頭を作ることもできる。このようにNotion AIの導入により情報取得と情報発信のハードルが下がり、情報共有のループが生まれた。読んでもらえると分かっているからドキュメントを書くモチベーションが生まれ、ドキュメンが増加し、Notion AI Q&Aの価値が高まるという好循環を実現できた。これは事業スピードの向上にもつながっている」(西岡氏)

ステップ.2 全従業員が生成AIを使いこなすための施策

 ここまで確認してきた通り、Notionの導入によりファストドクターの内部にAIを活用した情報共有ループが生まれた。

 しかし、西岡氏は「情報共有ループを実現したとき、AIを日常的に使いこなす従業員と、AIを使わない従業員の二極化が起こっていることに気付いた。今後、AIを使いこなせないと生産性の観点で社会人として生き残るのが非常に厳しくなる。私は当初から全従業員にAIを使ってほしいと考えていた」とも語る。

 そこでファストドクターは、これまでAIを使っていなかった従業員にも活用を広げるための取り組みを進めた。

印刷する
SNSでシェア

事例で学ぶ! 業務改善のヒント

この連載の記事をもっと見る

こんなメディアも見られています

キーマンズネットに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。

無料会員登録
最新情報をいち早くチェック!

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます(メディアごとに文章は変更)

いますぐ無料会員登録

アクセスランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9

キーマンズネット SNS

X @Keymansをフォロー

インフォメーション

キーマンズネットをフォロー