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ID管理を1週間から半日へ 泥臭いコピペ作業を短縮したテック企業の内部統制術

クラウド事業を営むクララは、SaaS利用拡大に伴いアカウント発行業務の手作業が増加する中、複数サービスをAPI連携させることで運用を自動化。新入社員向けアカウント準備のリードタイムを大幅に短縮したという。

» 2026年06月01日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 クラウドサービス事業を手掛けるクララは、クエステトラのBPM(業務プロセス管理)ツール「Questetra BPM Suite」を導入し、ID管理やアカウントの発行発行プロセスを刷新した。SaaS利用拡大に伴って複雑化していた運用を見直し、複数SaaSとのAPI連携を含むワークフロー基盤を構築。新入社員向けアカウント準備のリードタイムを、従来の延べ1週間から実質半日へ短縮したという。

社内のSaaSが激増、「コピペ頼み」の管理が限界に

 クララは日本と中国を軸にクラウド事業を展開しており、社内DXの推進に伴って利用するSaaSの数が増加していた。これまで、入退社に伴うアカウント管理のフローはQuestetraで運用していたものの、実際のアカウント発行作業は各SaaSの管理画面で個別に実施しており、担当者によるコピー&ペースト作業に依存していた。

 特にコロナ禍以降、テレワークの定着によって利用するSaaSはさらに増加。アカウント発行対象サービスの拡大に伴い、情報システム部門の運用負荷も増大していた。また、申請状況や処理進捗(しんちょく)をリアルタイムで把握しづらく、関係部門との連携にも課題があったという。

 こうした状況を受け、クララは新たなID管理製品へ全面移行するのではなく、既存基盤として利用していたQuestetraを継続活用する方針を選択した。部門横断の依存関係や並列処理、例外対応を含む複雑な業務フローを柔軟に設計できる点を評価したためだ。

 新たな運用では、Questetraをハブとして、IDaaS「Okta」、タスク管理ツール「Jira」、コミュニケーション基盤「Slack」などとAPI連携する構成を採用。人事部門が入力した従業員情報を起点に、各SaaSへのアカウント作成処理を自動化した。人による判断が必要な承認工程と、自動実行可能な処理を単一フロー上で統合した点が特徴となる。

ツール連携の全体像(出典:クエステトラのリリース資料)

 これにより、従来発生していた転記ミスを削減したほか、進捗状況のリアルタイム可視化や処理滞留の検知、完了通知なども可能になった。特定担当者への依存を減らし、運用の標準化や属人化の解消にもつながったとしている。

 今回の事例は、ID管理製品そのものを刷新したというより、SaaS利用拡大によって煩雑化したアカウントライフサイクル管理を、ワークフローと外部サービス連携によって再設計したケースと言える。

 近年、多くの企業でSaaS利用が前提となる中、アカウント管理では「システム導入」だけでなく、「運用プロセス全体をどう統制するか」が重要なテーマとなっている。特に、入退社や異動に伴う権限変更をどこまで自動化し、誰が承認し、どのように監査可能な状態を維持するかは、ゼロトラストや内部統制の観点からも重要性が高まっている。

 クララの事例は、既存ワークフロー基盤を中心に据えながら、SaaS群をAPIで接続し、業務プロセス全体を最適化するアプローチとして、複数SaaSを利用する企業にとって参考になりそうだ。

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