紙伝票が残る業務では、処理量が増えるほど入力負荷や確認作業の重さが無視できなくなる。では、精度を落とさずにその運用をどう見直すのか。花王のパレット伝票業務の事例は、その現実的な進め方を示している。
月に数万枚の伝票を、どうやってさばくのか。花王が向き合ったのは、工場から物流センターへの出荷、入荷時に発生するパレット(荷物の積載や輸送に使う台)の伝票入力業務だ。パレットの移動情報を記録し、受払管理のためにシステムへ反映する作業は長く手入力に依存していた。
こうした運用では、伝票の量が増えるほど現場負荷も重くなる。花王によると、ある工場ではこの業務に月200時間を要していたという。入力ミスが発生すれば、棚卸時の差異確認にも手間がかかる。単純な入力作業に見えて、処理量と正確性の両立が問われる業務だったといえる。では花王は、この運用のどこを見直したのか。
同社が採用したのは、route-DのAI-OCRサービス「route-D AIデータ入力」だ。ポイントになったのは、単に文字を読み取ることだけではなかった。伝票画像と読み取り結果を表形式で見比べられることや、誤読の可能性がある項目をハイライト表示できることによって、人が確認すべき箇所を絞り込みやすい構成になっていた。手書き文字を含む帳票をどう運用に乗せるかが、選定の分かれ目になったようだ。
導入後は、入力そのものの自動化に加え、確認作業の進め方も変わった。花王によると、ある工場では月147時間、約74%の省力化につながったという。伝票をデータとして扱いやすくなったことで、業務の集約やデータ保全の面でも改善を見込んでいる。
花王は今後、こうした運用を他工場や他拠点にも広げ、パレット管理業務の標準化を進める予定だ。なお、本稿は2026年6月30日にroute-Dが発表したリリースを基に再構成したものだ。
老舗の食品卸企業が生成AIで「人の判断」が必要な受注業務を自動化できた舞台裏
チェックも承認もAI任せの時代に? 「AIワークフロー」の便利機能を解説
ここで差がつく業務自動化 RPA実態調査で分かった「生成AI」の効果Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。